『S-Fマガジン』2015年8月号No.710【ハヤカワ文庫SF総会説 PART3[1001-2000]】

「ハヤカワ文庫SF総会説 PART3 [1001-2000]」
 ジーン・ウルフケルベロス第五の首』やM・ジョン・ハリスン『ライト』が好きな人が読むと小躍りするだろう」と評されているマイクル・スワンウィック『大潮の道』に惹かれます。ほかには、「(『失われた世界』を)「パターン通り」と評する人がいるが、それは大まちがい。本書がそのパターンを創ったのである」という中村融の評が頼もしい。ブラッドベリの新装版も、わざわざ手を出したりはしてませんでしたが、こうして紹介されると食指が動きます。特に『刺青の男』。
 

「《宇宙英雄ローダン》500巻到達記念座談会」

「SFのある文学誌(41)進化論の詩学2」長山靖生
 

「書評など」
◆何といってもスタニスワフ・レム『短篇ベスト10』でしょう。ほかにジーン・ウルフの記念日の本』、スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議』、レオ・ペルッツスウェーデンの騎士』、井村君江日夏耿之介の世界』あたりが必読です。『コングレス未来学会議』は、レム作品の映画化。
 

「縫い針の道」ケイトリン・R・キアナン/鈴木潤(The Road of Needles,Caitlin R. Kiernan,2013)
 ――〈ブラックバード〉は月と火星を結ぶレールをどんどん離れていた。事故のせいで十七時間弱のあいだに船内は森のようになっていた。ニックスは植物が生い茂った道にたどり着くと、CPUのある深部のシャフトを目指した。自分のことを待っている恋人と娘のことを考えながら。娘のマイラは『赤ずきん』がお気に入りだった。「あたしだったら絶対にオオカミなんかと口をきかないわ」

 ローカス賞短編部門受賞作品。日本では未紹介の作家ですが、世界幻想文学大賞など受賞している、主に短篇の名手だそうです。こうした機知こそが、ロボットにはできないこと、でしょうか。バラードの終末のような心地よいジャングルが魅力的です。
 

「乱視読者の小説千一夜(47)私の仕事はまだ終わっていない」若島正
 辛口のホラー小説研究家S・T・ヨシが褒めている作家トマス・リゴッティについて。若島氏曰く、「彼の前にはラヴクラフトしかいない」。
 

大森望の新SF観光局(46)「SFまで10000光年」書籍化の夏」
 

「近代日本奇想小説史 大正・昭和篇(22)宮崎一雨の世界1」横田順彌
 

  


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