『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』50・51(アシェット)

ミステリーゾーン』50「人形はささやく」「処刑のベルが鳴るとき」「死者を呼ぶ男」

「人形はささやく」(Caesar and Me,1964.4.10,ep148)★★★★☆
 ――売れない腹話術師ジョナサン・ウェストの人形シーザーには、自我があった。「俺の言う通りにすればうまくいく」とシーザーに囁かれるままに、ジョナサンは食料品店に押し入った。

 A・T・ストラスフィールド脚本。ロバート・バトラー監督。「人形=持ち主の悪意を写す装置」という型通りのストーリーを芯に据えながら、結末に向かってひねりを効かせてあります。これまた定番の「子どもにだけは聞こえる」という設定を逆手に取ったような結末と、そこに冒頭の吹き矢が伏線として生きてくる構成が光っていました。スーザン役のスザンヌ・キュピト(Susanne Cupito)が可愛い。
 

「処刑のベルが鳴るとき」(The Jeopardy Room,1964.4.17,ep149)★★★★☆
 ――共産圏から亡命しようとしたカチェンコ少佐の命を、秘密警察の暗殺者二人が狙っていた。一人は人殺し、一人は芸術家。芸術家であるヴァシロフ部長は、簡単に銃で殺すのではなく、芸術的に殺すべきだと語った。少佐の部屋にダイナマイトを仕掛け、三時間以内に見つけてみせろと脅した。

 ロッド・サーリング脚本。リチャード・ドナー監督。タイムリミットものの心理戦と、爆弾探しの頭脳戦が展開されます。爆弾の在処が途中で明かされてしまいますが、おかげでベルが鳴る場面に緊迫感が生まれているとも言えます。それにしても部下の殺し屋の間抜けっぷりが目につきます。最後、無関係の人が部屋にいたらどうするつもりなんだよ少佐……と思ってしまいました。ヴァシロフ部長役のジョン・ヴァン・ドリーレン(John van Dreelen)が渋い。
 

「死者を呼ぶ男」(Mr. Garrity and the Graves,1964.5.8,ep152)★★★★☆
 ――開拓時代。ついこのあいだまで治安が悪く山ほどの人が死んでいたハピネスという町に、ギャリティという男がやって来た。ギャリティは死人を生き返らせることができるといい、実際に野良犬を生き返らせてみせた。

 ロッド・サーリング脚本。テッド・ポスト監督。まあ、犬を生き返らせた時点で、詐欺師なんだろうな、というのは見当がつきます。そこからどうカモるのかと思っていたら、逆転の発想がさすがです。人間の心理に長けているからこその詐欺師なのでしょうね。カモり方が大胆で鮮やかなだけに、無理矢理『ミステリーゾーン』にこじつけたような結末が悔やまれます。
 

ミステリーゾーン』51「最後の支配者」「死ぬほど愛して」「闇に光る指紋」

「最後の支配者」(The Brain Center at Whipple's,1964.5.15,ep153)★★☆☆☆
 ――工場を機械化して効率化しようとするヒップル社長に対し、工場長ハンリーは従業員が失業してしまうと反対する。従業員からも叛乱を起こされるが、社長は機械のことしか考えられない。

 ロッド・サーリング脚本。リチャード・ドナー監督。人間VS機械の対立というよくある話を、機械化を推し進める人間に焦点を当てることで、単なるミステリーゾーン的な話ではなく労働問題や社会問題にすることに成功しています(がそのせいでつまらなくなっていることも確かです)。
 

「死ぬほど愛して」(Come Wander With Me,1964.5.22,ep154)★★☆☆☆
 ――ロカビリー歌手フロイド・バーニーは新曲を求めてとある町にやってきた。どこからともなく聞こえてくる女性の歌声に惹かれて近づいてゆくが、ラファート兄弟が現れ、「歌を盗むな」と銃を向けた。

 アンソニー・ウィルソン脚本。リチャード・ドナー監督。歌の部分だけは吹替えられていないので、「You killed Billy Rayford/ 'Neath an old willow tree」をはじめとした肝心な部分が日本語にされていないという致命的欠陥のある日本語版でした。全篇を「予言」が覆っています。
 

「闇に光る指紋」(The Fear,1964.5.29,ep155)★★★★☆
 ――警察官のフランクリンが、ファッションデザイナー・シャーロットのいる山小屋を訪れた。昨夜見たという怪しい光について聞きに来たのだ。その時、何かが着陸するような音がした。様子を見に行くと、乗ってきた車が勝手に動き出してひっくり返った。

 ロッド・サーリング脚本。テッド・ポスト監督。原題が示す通り、「恐怖」というものの本質を突いた作品です。出来はチープではありますが、人間の心理を的確にすくい取って描いているという点で、第1シリーズの「疑惑」にも似た社会への眼差しを感じます。
 

 小冊子の「不可思議な事件」のネタも尽きたのか、これまでの怪奇現象から、不思議な話へと変わっています。50の記事はアナスタシア大公女、51はルドルフ・ヘス。言われてみればヘスの行動ってミステリー・ゾーンっぽいかも、と思ってしまいます。

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