『無限のドリフター』樹常楓(電撃文庫)★★★☆☆

 SFマガジンで紹介されていた「J・G・バラードの小説が好きなの。この人はとても心地のいい終わりを書く人でね。」という台詞に惹かれて購入。この台詞に代表されるように(※ほかにスタージョンの九割クズ発言を「サド格言」という記述もあり。)、著者のSF好きは伝わって来ました。

 けれど内容は、どこかで見たり読んだりしたようなことの継ぎ合わせに終始してそれ以上ではありませんでした。背中に花の生えた鼠や、汚染された地上と適応する新人類etc.。

 遠い未来。すべてが壊れ、灰色に塗りつぶされた地上。少数のエリートは空中都市へ避難したが、取り残された多くの人々は、常に死と隣り合わせの荒れ果てた世界で、細々と生きるしかなかった。そうした狂った世界を、一本の斧を頼りに放浪する少年がいた。マサキは生き抜くため、邪魔する相手をためらいなく殺しまくる。やがて彼にはアダ名がついた。「殺人鬼マサキ」。しかし彼は、決して悪人ではない。心優して殺人鬼。ただマサキは探しているだけなのだ。自分に命を与えてくれた少女―美しく無邪気な天使を。

  


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