『クラーケン』(上・下)チャイナ・ミエヴィル/日暮雅通訳(ハヤカワ文庫SF)★★★☆☆

 『Kraken』China Miéville,2010年。

 『都市と都市』も冗談のような設定の作品でしたが、本書もそれに輪をかけたようなおふざけじみた設定でした。ダイオウイカを神と崇める教団に、カルト犯罪対策課、使い魔のストライキ、口を利くタトゥー、残虐な男と無口な少年の殺し屋魔術師コンビ……でもダーク・ファンタジーという感じではなくB級でマンガチック。殺し屋コンビの初登場シーンなんかは真っ先に絵が浮かぶ名場面です。スタートレックに対するオタク的な言及に代表されるように、各所にいろんなジャンルの小ネタが散りばめられていて、ニヤリというより、読みづらいというのが正直なところでした。

 現代のロンドン。自然史博物館でキュレーターを務めるビリー・ハロウは、人気の巨大ダイオウイカの標本を担当していた。ある日、ガイドとして客を引率していたビリーは、奇怪な光景を目にする。ダイオウイカの標本が水槽ごと消失していたのだ! 戸惑うビリーに接触してきたのは、《原理主義者およびセクト関連犯罪捜査班》と称する魔術担当の刑事たちだった。現代SF界の旗手が描くノンストップ・エンターテインメント(上巻カバーあらすじより)

    [楽天(上)] [楽天(下)] 


防犯カメラ