『good!アフタヌーン』2016年6月号

「じゃあねバイバイ」沼原望 ★★☆☆☆ ――「じゃあねバイバイ」。スポーツ万能・学歴優秀・ミュージシャンの息子である完全完璧人間の彼氏・カイ君が拳銃で自殺する夢を見た。不安などない彼に銃など必要ない……はずだ。けれど最近、カイ君のよくない噂を耳にする……。

 四季賞受賞作。すさまじくありがちなSFのその先――もまたありがちとはいえ、「その後」を丁寧に描いているので、臭っ……と一瞬ひいたあとで、まただんだんと引き込まれてしまいます。タイトルにもなっている「じゃあね」「バイバイ」を異なる複数の場面で用いているのも、丁寧に作られていると感じます。
 

巨娘」(17)木村紺 今月は千鶴のメイン回です。ジョーさんが化物じみているのに対し、千鶴は当たり前に陰謀家です。
 

「亀皇」タケオキュージュウ ★★☆☆☆ ――アイドルになったおさななじみに、「1年で1億稼いだら付き合ってもいい」と言われた君鳥喜美助。ギャンブルで一攫千金を狙うがあえなく一文なしに。牛丼屋で知り合った女性に、亀を出場させる違法な賭けレースを紹介され、ペットの亀・ジュニアを出場させることに――。

 四季賞出身者による読み切りデビュー。違法だから正式な手続きはいらない、お値段的にも馬より手軽、それでいながら競馬やギャンブルひいては勝負事にまつわるドラマはしっかり描くことができる――漫画としてはおいしい設定なのかもしれませんが、レースの迫力や心理のあやを描くのにはまだまだ力不足だと感じました。
 

「リメインバッド」(後篇 最終回)中川貴賀 ★★☆☆☆ ――首を絞めて殺されかけた奏に事情を聞く土生。そして明らかになる意外な真実……。

 たった全3回でサスペンスをやるのは無理があるようで、だんだん盛り下がってきてしまいました。手垢のついた「狂信」だけではインパクトが弱すぎます。
 

  


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