「わたしびと」松川直央
――目がさめる……おとしより、大学生、主婦……身体から、身体へ。毎日、すこしだけ、誰かの世界を歩く。目がさめる。今日は男。着るのはスーツ。
2016春の四季大賞「ふれない恋人」の著者による読み切り。最小限の言葉と、少し不思議と、たまに見せる効果的な表情、の組み合わせは、四季大賞受賞作と同様です。「わたりびと」ではなく「わたしびと」なんですね。
「愛猫ババアに捧ぐ」松田舞
――煙草屋のお婆さんは、店を閉めようと思っていた。野良猫のさゆりちゃんは、それを聞いて地蔵にお願いに行く。カラスに襲われていたところを救ってくれたのが煙草屋のお婆さんだったのだ。
2016夏のコンテスト四季賞受賞作。タイトルにもうちょっと神経を使えばいいのに。猫の恩返し。空回りしているように見えても、伝わるものはあるようです。
「ツッコミーノ・ブルボン」富本祥太
――挽香子は人と喋るのが大の苦手だった。ノートを見せてくれた鬼豆さんにお礼を言おうと、卓球部を訪れた挽は、無口な鬼豆さんがボケているのを聞いて、心のなかで思わずツッコミを入れていた。
2014年9月号(46号)に「ハイスペックボーイ&ガール」が掲載された新人さん(?)の不定期連載(?)。青年誌らしいと言えばいいのか、丁寧なボケとツッコミのギャグ漫画です。次の掲載はいつになるのか楽しみです。
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