タイトルからもわかるとおり、早稲田の女は女ではないそうです。
いつもの柚木ヒロインのような、何だかんだ迷いながらも、がっぷり正面から人生に挑んでいるような、気持の良い大学生・早乙女香夏子が主人公です。それをそばから支える(たぶん)しっかりものの友人(立石三千子)もいて、これぞ柚木ワールドといったところ。
かっこいいのは主役たちだけじゃない。失恋したあとに乗ったタクシーの運ちゃんの一言「ねえちゃん、あんたが何とかしろ。あんたなら出来る」。タクシーの運ちゃんといえば、人生経験豊富な人ポジションですものね。
ただし東京の女子大生には詳しくないせいで、各人のキャラ付けはいまいちわかりません。
青山学院生のみなみの決断も、ものすごくかっこいいのですが、青学生はこんなキャラだと思ってしまいますよ?
かっこよかった香夏子も、だんだんと化けの皮を剥がされてゆきます。自虐と鎧を指摘されて身ぐるみ剥がされるのは、可哀相ですらありました。ただの面倒臭い人、だったんですね。
主人公が最後に選んだ決断は、自分に正直になるってことなのでしょうけれど、正直、ないな~と思ってしまいました。共感できない分、ほかの柚木作品ほどには好きになれませんでした。
早稲田大学四年の早乙女香夏子には、留年を繰り返す脚本家志望のダメ男・長津田という腐れ縁の彼氏がいた。しかし、必死で就活に励んでいる間に後輩の女子が彼に急接近。動揺する香夏子だが、内定先の紳士的な先輩に告白されて……。自意識過剰で不器用で面倒臭い早稲女の香夏子と、彼女を取り巻く微妙な距離感の女子五人。傷つきながら成長する女子たちの等身大の青春小説。(カバーあらすじ)
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