『怪談撲滅委員会 幽霊の正体見たり枯尾花』黒史郎(角川ホラー文庫)★☆☆☆☆

 存在しない幽霊を退治するのではなく、実際に害を及ぼしている怪談を撲滅する――こうしたあらすじとタイトルだけ見たなら、怪談を自然現象として解体したり科学的に解明したりする話だと思ってしまいますが……。

 実際のところは違います。

 幽霊は「幻覚」だそうです。なのでそれを消すためには、幽霊のいる場所に大きな縫いぐるみを置いて見えなくします。あかいちゃんちゃんこに言い返して言い負かします。

 ……くだらない。

 結局のところ幽霊が実在するか実在しないのかという設定の違いはあれど、やってることは幽霊退治のようなものです。しかし実在しない以上は物理攻撃もできないので(自分に対する)心理攻撃に終始します。ようするに「幽霊なんていないと思い込ませる」。

 ある意味で正しいとも言えますが、こういうことをやるのなら、もっともっとキャラを立ててもっともっとハッタリを利かせてくれなくちゃ面白くありません。

 超ド級の怖がり・大神澪は、事情により七不思議ならぬ“21の怪談”がある白首第四高校に入学してしまった。友達も作らず怪談を避ける日々を過ごしていたが、突然、破天荒な不良・雲英の脅しにより、「怪談撲滅委員会」――有害な怪談の撲滅を目指す組織の一員となることに。早速、“あかいちゃんちゃんこ”が出ると噂のトイレに連れていかれ……!? 超怖がり少女と不良青年が学校の怪談を“口撃”する、前代未聞の学園ホラー!(カバーあらすじ)

  


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