集英社文庫版を持っているので、解説が面白そうだったら買おうと思って本屋でぱらぱらとめくってみたら、著者自身のあとがきに吹き出してしまったε=(>ε<)。
というわけでいざ購入。改めて読み返してみたけれど、やはり全盛期の島田荘司は天才です。
真相を知ってから読んでいるわけだけれど、読み返してみるとなんと見事に“そのまんま”書かれていることか。これだけあからさまなのにまったく気づかせることなく最後に驚かせてくれるんだからすごい。一点だけ、P.50の「驚いたことに」てのが誰の視点なのかが気になったよ。再読だからこそ気づくどーでもいい引っかかり(^^;。
あとは探偵役(^^)。島田荘司全盛期のユーモアはトリック以上にすばらしい。しかしなんでわざわざサンタクロースみたいな格好したのかね。
切り裂きジャックものとしても他の類似作品とは一線を画す。ミステリ作家が書いた切り裂きジャックものって、ほとんどが“当時の有名人のうちの誰を真犯人として描くか”という一点のみにこだわっていて、どれも同工異曲なんだもの。現実の切り裂きジャック事件の真相がどうこうというよりも、独立したミステリ作品として評価できる傑作でした。
1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。五人の娼婦たちは頚動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、百年後のベルリンに甦ったのか? 世界犯罪史上最大の謎「切り裂きジャック事件」を完全に解き明かした、本格ミステリー不朽の傑作(裏表紙あらすじより)。