『百鬼夜行抄』13 今市子(朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙なコミックス)★★★★☆

「夜半の客」★★★★☆

 開さんの話。またもお見合い。とーぜん相手は妖怪がらみ(^^)。基本的に飯島家の人たちは妖怪にモテる。次から晶ちゃん&三郎さん話がメイン・サブストーリー(変な表現だが)になるため、本篇に司ちゃんがちょい役でゲスト出演してその後はしばらくお休み。

「晴れ着」★★★★☆

 いつもと違う感じで、晶ちゃんの友だち経由でやっかいが舞い込む。着物に宿った怨念、というだけならよくある話なのだが、そこに青嵐バラバラ事件とか、三郎さん事件の伏線だとかがからむ。

「月影の庭」★★★★☆

 三郎さんがいなくなる。すわ浮気?……ではもちろんなくて、寿命が残り少なくなってきたのです。細工物に自らの魂を込めてしまった人が、今度は他人の魂を塗り込める……。プラス、青嵐バラバラ事件の続き。三郎自身の運命と、描かれる事件が密接な関係にあるという点で完成度は高い。のちのち読んでいけばわかるとおり、青嵐バラバラ事件の方とも密接に関わっていて、よくぞ詰め込んだ!と評価したい。

「餓鬼田の守り神」★★★★☆

 三郎さんをこの世に呼び戻すために反魂術を試みる晶ちゃんと、殺人(?)犯が山奥で出会う。これも三郎さんの箱庭がうまく本筋にからんでいる。とはいえ当事者本人が自力で供養もしているという点で、かなり異色である気もする。そのこともあって、さわやかな結びと相まってラストはかなり明るい印象の作品。

 この巻は、これは!という突出したものがない代わりに、どれも安定して完成度が高かった。

 『百鬼夜行抄』13
  オンライン書店bk1で詳細を見る。
 amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ