『百鬼夜行抄』(22)、『おおきく振りかぶって』(22)、『あさひなぐ』(10)、『花もて語れ』(10)、『續さすらいエマノン』

百鬼夜行抄』(22)今市子朝日新聞出版Nemuki+コミックス)
 本誌も『ネムキ』から『Nemuki+』にリニューアルしたのに合わせて、単行本名も「眠れぬ夜の奇妙なコミックス」から「Nemuki+コミックス」に変更になったようです。

「鬼の帰館」
 青嵐によって異界に閉じ込められていた開が帰ってきた――はずだが、司だけは、あれは叔父さんではないと言い張って……。

 ようやく開さんの話が一段落しました。ちょくちょく妖気に飲まれていた司が、ひさびさにその負の面を全開にしたような気がします。
 

「一番背の高い木」
 開の無事を祈って方々にお願いをしていたお婆ちゃん。司も代理でお礼参りを頼まれたが、なぜか行く先で律とばったり鉢合わせ……。

 青嵐がいなくても、今でもちゃんとおじいちゃんが守ってくれます――と思ったら、青嵐も最後にちょろっと役に立ってました。依代式神や生贄といったお馴染みの要素が、何もわかっていない司視点で組み立てられているので、真相が単純ゆえに効果的な、完成度の高い作品でした。
 

「美貌の箪笥」
 ふたたび三つ葉ハウジングにお世話になることになった開。引っ越しの直後、作業員が辞職し、家具も元に戻してしまったという物件を見ることに……。

 すっかり元に戻った感じの開さんと律です。
 

「二つ穴」
 父方の親戚が所有している都内の新築マンションを相続するかもしれなくなった律。司と律がマンションを訪れると、部屋のドアに二つの覗き穴があった。その夜、司は二つの墓穴の夢を見る……。

 これは百鬼夜行抄には珍しく、かなり怪奇色の強い作品でした。二つの覗き穴についての開さんの思いつきや、現所有者が覗き穴を一つ増やした理由など、生理的な怖さに訴えかけるものがあります。
 

「忘れられた宴」
 『ネムキ』最終号と『Nemuki+』創刊号をつなぐ特別号『眠れぬ夜の奇妙な話』掲載作品。
 ホッシー神隠し村にお泊りに行くと言っていた司が行方不明になり、探しに出かけた律も、異界の者たちにつかまってしまう。そんななか、幼き日のおじいちゃんとの出来事を思い出した律だった。

「遊戯の季節」
 『Nemuki+』創刊号掲載。青嵐が「でかいもの」を家に持ち込もうとするのを止めた律。そのころ少女は、敷石を島に見立てて「海」に落ちぬよう飛びながら鬼ごっこをしたことを思い出していた……。
 

おおきく振りかぶって』(22)ひぐちアサ講談社アフタヌーンKC)
 西浦と武蔵野(榛名)の試合の続きです。秋丸がメイン。一試合のなかで変わりすぎですよいくら何でも……とは思いますが。それにしても武蔵野の後輩がいい人ばかりです。
 

あさひなぐ』(10)こざき亜衣小学館BIGスピリッツCOMICS)
 やす子先生がいよいよベールを脱ぎます。強いだけじゃなく、ちゃんと指導者として考えてくれてます。小林先生は出番が少ないのに相変わらず邪魔くさい(^^。 愛山・國陵との合宿の続き、練習試合篇。
 

『花もて語れ』(10)片山ユキヲ小学館BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
 ハナが実家に帰って朗読をするのですが、作品の内容と朗読者や聴き手の境遇を重ねる手法は、うまくいくと感動的だけれど、失敗するとこじつけ臭がひどいです。

『續さすらいエマノン梶尾真治原作/鶴田謙二作画(徳間書店リュウコミックスSPECIAL)
 『おもいでエマノン』の前日譚。ストーリーやキャラを含めてエマノンの魅力は『おもいで』で出尽くした感があり、あとはエマノンのグラビア作品集という感じです。

     


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