『スナーク狩り』ルイス・キャロル/高橋康也訳/河合祥一郎編(新書館)★★★★☆

 『The Hunting of the Snark』Lewis Carroll,1876年。

 単独の書籍としてはなんと初めてとなる邦訳『スナーク狩り』です。『澁澤龍彦文学館』に収録されてたのか。

 『ルイス・キャロル詩集』の訳に慣れているので、訳が違うとどうかな、と思ったのですが、そんなの関係ありませんでした。

 何より挿絵が大きいのが嬉しいですねえ。有名な最後の一文もちゃんと「かのスナーク」となっています。ここは「the」を「あの」って訳さなきゃ意味が通じないものね。

 読み返してみると、スナークの特徴を五つ挙げる場面で、いちばん最初にいきなり「味」のことに触れるのには笑ってしまった(^^)。何となく「化物退治」みたいなイメージを持っていたから「いや、もっとほかにあるだろ」と思ってしまったのだけれど、「hunting」てのはやっぱり文字どおり「狩猟」という意味合いメインなのかな。

 ルイス・キャロルというと自己満足な解釈魔の餌食にされている感もあるのだけれど、不必要に余計なことには触れていない註釈も○。

 「これぞスナーク向きの場所!」/ベルマンは叫んで 乗組員を一人また一人と/指先で髪の毛をつまみ 波頭の上を滑らせて/慎重に岸を進んだ/欠けたるところなき乗組員を紹介すれば まずブーツ/次が被りもの作りの専門家ボンネット・メーカー/そして紛争処理が役割のバリスター/それから財産査定のブローカー/……
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