「My Favorite SF」(第36回)高千穂遙
『幼年期の終わり』クラーク。
「批評で世の中を変える」宇野常寛×中森明夫
ああ。結局、アンチ「東サークル」というのが大前提なので、保守層の存在自体を知らない一般人が読んでも、気合いが空回りしているようにしか見えなかったのかな。
「もろびと大地に坐して」コニー・ウィリス/大森望訳(All Seated on the Ground,Connie Willis,2007)
――地球を訪れて以来、わたしたちをただにらむばかりだったエイリアンが、突然座った。その理由は……。(袖あらすじより)
ウィリス印のドタバタコメディ。「すれ違い」というのはコメディの基本ではあるけれど、登場人物みんなが人の話を聞かない人たちばかりゆえに話が進まないという強引な進め方はいただけない。謎の引っ張り方も、ただ単にCDをかけまくる描写が続いて、あれも違うこれも違うの繰り返しでは引きが弱い。曲を知っていればあるいは楽しめるのだろうか。ワンアイデアを豪腕で押し切った、ウィリスのなかではよくない部類に入ると思う。
「両替官とアイアン卿 経済学のおとぎ噺」ダニエル・エイブラハム/市田泉訳(The Cambist and Lord Iron:A Fairy Tale of Economies,Daniel Abraham,2007)
――外貨両替官オラフ・ネッデルソーンの平穏な日々は、ある人物の出現とともに終わりを告げた……(袖あらすじより)
昔話などでお馴染みの難題もの。ただしサブタイトルからもわかるように、どの難題も等価交換の原理に基づいて解かれるものばかりであるのが特徴。昔話のとんちを現代風に理論武装した感じだろうか。両替の記録も残っていないような昔の小国のお金を適正価格で両替せよ、とか、命の価値、とか、難題自体も思わずいっしょに考えてしまうクイズみたいで面白い。
「〈変化〉後の北公園犬集団におけるトリックスター伝承の発展」キジ・ジョンスン/谷垣暁美訳(The Evolution of Trickster Stories Among the Dogs of North Park After the Change,Kij Johnson,2007)
――言葉をしゃべるようになった犬たちは、ある者は捨てられ、ある者は進んで公園で暮らしていた……(袖あらすじより)
論文のパロディみたいなタイトルのわりには、本文は別に論文調ではありません。現代アメリカの女性作家は誰も彼もが「物語を語ること」に対して強迫観念のように自覚的になっているようで、さすがにそんな話ばかりだとまたかという気にさせられてしまいます。
「SFまで100000光年 63 昭和の車窓から」水玉螢之丞
「廻る世界」NA2《SF Magazine Gallary 最終回(第36回)》
「SF BOOK SCOPE」林哲矢・千街晶之・牧眞司・長山靖生・他
◆「MEDIA SHOW CASE」では『血液と石鹸』柴田元幸トークショーの模様がちらっと紹介されてます。
◆奇想コレクション『マーブル・アーチの風』コニー・ウィリス、レム『宇宙飛行士ピルクス物語』、古典新訳文庫『天使の蝶』プリーモ・レーヴィ、のほか、やっぱり気になるジョー・ヒル『20世紀の幽霊たち』。笹川氏はけっこう絶賛に近いみたいです。
「地球移動作戦(第6回)」山本弘
「頭よくなる光線」椎名誠《椎名誠のニュートラル・コーナー11》
「頭よくなる光線」だなんて、頭わるそうなネーミングセンスがナイスです。
「戦闘妖精・雪風 第三部 アンブロークン・アロー(第3回)」神林長平
「おまかせ!レスキュー Vol.126」横山えいじ
「サはサイエンスのサ 165」鹿野司
経済の話その1。ちゃんと以前の連載からの続きになっています。
「家・街・人の科学技術 24(最終回)」米田裕
「センス・オブ・リアリティ」
◆「陰謀のセオリー」金子隆一……ああいう番組って、信じてる人が作ってるのかな……。めげずにちゃんと科学な話に持っていくところが偉いです。
◆「大いなる格差」香山リカ……今回は精神科の話ではありません。ということはつまり、専門外の一般人にすらわかることがわからない政府っていったい……。
「MAGAZINE REVIEW」〈インターゾーン〉誌《2008.5/6〜2008.7/8》川口晃太朗
5/6月号はマンデーンSF特集。7/8月号からは、殺戮機械(無機体)と人類(有機体)の闘いを無機体側から描いてみたというポール・マコーリイ「迷えるロボット」(Little Lost Robot)を読んでみたい。
「デッド・フューチャーRemix」(第76回)永瀬唯【第13章 ハイ・フロンティア】
「カメリ、子守りをする」北野勇作
――オタマ運河近くのカフェに勤めるカメリは、マスターから子守りを頼まれるが――(袖あらすじより)
お、ひさびさのカメリだ。でも今回はちょっと観念的な感じだ。
「トーラスの中の異物」菅浩江
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『SFマガジン』2008年12月号
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