『Classical Fantasy Within 4〜7(第二部)』島田荘司(講談社BOX)★★☆☆☆

 なんだこりゃ(^ ^;。

 別に「ファンタジー」ってこういうことではないと思うのですが。。。『ネジ式ザゼツキー』とか『リベルタスの寓話』とかみたいなのでいいのに。神話の英雄譚か何かをイメージしているのかもしれませんが、これではただのとんちクイズでした。確かに知恵と力を駆使して三つの関門を突破するというのはいかにもそれらしくはありますが。

 第四巻はけっこうよかったんですけどね。登場人物たちとともに異世界に放り込まれてただただ突っ走っていられたので、〈冒険〉要素がいちばん強い。あとはただ一巻につき一問のなぞなぞを解いていく感じで、どうしようもありませんでした。(「はさみを一回だけ入れる」でその答えはズルですよ(^^、たぶん。)

 開巻そうそういきなり千人から十六人になっちゃうのが……。そんなに苛酷な冒険なのに、そこから先はなかなか減りません(減ったら物語にならないんだけど)。むしろ増えてます(−_−)。

 千人いたって書き分けられるわけもないし、まあそれ自体はお約束でいいとしても、人数が減っても主人公と飛び入り以外はいつまで経っても「その他大勢」扱いなのも、ずいぶんと大雑把な印象です。

 その代わりと言ってはなんですが、女キャラは相変わらずの強烈な島荘フィルターがかかっていてキャラ濃いです。第五話に出てくる〈囚われの姫君〉を、可憐な美少女ではなく中年のヒステリー美女に設定するあたりに島荘節全開です。かつてレオナが「ホモなの?」という場違いにもほどがある迷言を吐きましたが、本書の女性たちもそういう点では同人種で、どうでもいいヒステリーで物語をいたるところでぶった切ってくれています。全体として絵空事なのに、そこだけは妙に現実寄り。

 これまではミステリとか思想とかでダメダメな作品でも、物語部分では裏切ることのなかった島田荘司作品にしては、物語自体がつまらないという「どうしちゃったんだろう?」な作品でした。

 突如として無数の天変地異に襲われ、滅びを決定づけられた都、サラディーン。神の創りたもうた地上で最悪の地、アル・ヴァジャイヴを五日間のうちに横断し、月の女神アイラの待つイスラエルへとたどり着くことなしには、この都を救うことはできない……ショーン・マスードら誇り高き王室守備隊は一路前人未踏の荒野へと旅立つ!(第4話箱裏あらすじより)
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