『たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選―』行方昭夫編訳(岩波文庫)★★★★☆

 イギリスの新聞コラムニスト四人の作品からいくつか選んだもの。『くまのプーさん』のA・A・ミルンもその一人。

 解説では「天声人語」の名前が挙げられているけれど、おかしな話題・ユーモア・論理展開など、どちらかといえばチェスタトンに近いと感じました。というか、チェスタトン自身も新聞コラムの執筆者だったわけだし。さすがに本書の作品はチェスタトンほど晦渋じゃないけれど。う〜む、だけどチェスタトンのあの不思議な筆運びは、一部なりともコラムの作法だったのか。

 四人のなかではガードナーとミルンが面白い。どちらかというとガードナーは社会派ネタ、ミルンは身のまわりネタ。むりやりへんなことを書いている感じでかわいい。リンドの作品は長めの分、普通のエッセイぽい部分があって切れ味に劣ります。ルーカスは語りに工夫を凝らしすぎかな。

 二〇世紀初頭のイギリスにガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの四人を代表とするエッセイ文学が一斉に開花した。イギリス流のユーモアと皮肉を最大の特色として、身近な話題や世間を賑わせている事件を取り上げ、人間性の面白さを論じてゆく。(カバー袖あらすじより)

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