これにて終刊のようです。高野文子の連載が読めなくなってしまうのは残念ですが、最近はちょっと柴田元幸教の教典みたいな気持ち悪い雑誌になって来ていたので、潮時なのでしょう。
『トム・ソーヤーの冒険』マーク・トウェイン/柴田元幸訳/西岡千晶絵(The Adventures of Tom Sawyer,Mark Twain)★★★★★
あまりにも有名な名作ですが、それゆえにお決まりのごとく、子どものころ以来ひさしぶりに(ということは完訳は初めて)読みました。トムに弟がいたり、ハックに両親がいたりしたんですねえ。まあ覚えていないのもうなずけるような影の薄さですが。
52ページにトムが描いた絵とその説明の文章が載っているのですが、その譬喩のあまりの的確さに、声をあげて大笑いしてしまいました。マーク・トウェイン、天才すぎます。
トムがけっこうませていることに驚きました。
「あかずの日記15 7月― 月 テツ子」岸本佐知子
「ウェイクフィールド」ナサニエル・ホーソーン/柴田元幸訳/高野文子漫画
「軍靴の妄想」スポジマイ・ザリアーブ/小沼純一訳(Les bottes du délire,Spôjmaï Zariâb)
――「軍靴、軍靴が! ぶどうの実が!」あたまのなかで自分の声がこだましている。――やってくる、ほら、そこにいる! 軍靴が! 近寄らせないで! わたしをなくしてしまう。わたしたちみんな、跡、形もなくしてしまう。