『ミステリマガジン』2012年6月号No.676【特集 SPY ル・カレから外事警察まで】

渡部篤郎インタヴュー」

「堀切園健太郎(『外事警察』監督)×訓覇圭(プロデューサー)」
 

「ある外事警察官」麻生幾
 ――国際手配されているテロリストを、一警官の手柄で逮捕することができた……という建前を作りあげた警察だったが……

 スパイというか、国際謀略小説。デイヴィッド・マレルの作品もそうだけれど、騙し騙されで何が真実なのか見極めることすら困難なのは、スパイの宿命……でしょうか。
 

「『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』新訳にさいして」村上博基
 

「尋問者」デイヴィッド・マレル/北野寿美枝訳(The Interrogater,David Morrell,2010)
 ――アンドルーはテロリストの尋問を始めた。拷問を受ければ被疑者はあることないこと自白してしまう。アンドルーにはアンドルーなりの尋問方法があった――。

 まるで忍法帖でも読んでいるような、生死を賭けた訓練と騙し合い見抜き合い。そして揺らぎ……。
 

「迷宮解体新書(52)小島正樹」村上貴史
 島田荘司と共著の『天に還る舟』の著者。

「短篇ミステリがメインディッシュだった頃(1)EQMM」小鷹信光

「エレヴェイターの中の迷路」ジェイムズ・パウエル小鷹信光(Maze in the Elevator,James Powell,1968)
 ――唐突にエレヴェイターが停止した。「故障でとまったようですね」ウイリアムズは同乗の老人に話しかけた。「茶番はもういい! ロドリゲスを殺したのがおれだということも知ってるくせに」

 新連載。「パパライスの舟」のような、エッセイ&短篇という構成です。「道化の町」の作者による短篇は、密室のなかに狂人と二人きりで閉じ込められた男の恐怖を描いた不気味なものです。
 

「書評など」
岸本佐知子編訳『居心地の悪い部屋』、「出来のいい歴史ミステリ」アランナ・ナイト『修道院の第二の殺人』わらいなく『KEYMAN』などが気になるところ。

 来月号はルパン&ルパン三世特集。

 


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