『ミステリマガジン』2014年2月号No.696【作家特集ジョン・ル・カレ】

 古典という印象があるのでまだまだ現役だったことに驚き。これからもスパイ小説を牽引していってほしい。

誰よりも狙われた男』(一部抜粋)ジョン・ル・カレ/加賀山卓朗訳(A Most Wanted Man,John le Carré,2008)
 ――舞台はドイツ、ハンブルクチェチェン人亡命者のイッサは、慈善団体の弁護士、銀行家らに助けを求めた。彼らはイッサのために手を尽くすが、イッサには各国諜報員の注目が集まっていた――。(紹介文より)

 新作の冒頭部分の抜粋。脚本と掌篇はファン向けのおまけみたいなものなので、実質これが特集のメインです。
 

「冒険小説、英国文学としてのル・カレ」月村了衛
 

「ジョージ・スマイリーの帰宅」ジョン・ル・カレ村上博基(Geoge Smiley Goes Home,John le Carré,1979)
 テレビドラマの脚本。

「ものいわぬ王」ジョン・ル・カレ村上博基(The King Who Never Spoke,John le Carré,2009)
 幼くして王位についた無口な少年王を描いた戦争と平和の寓話(惹句より)
 

「トマト・ゲーム」皆川博子(再録)
 

「ペイパーバック千夜一夜(1)」小鷹信光
 新連載。今回は主に小鷹信光文庫について。
 

「シバの娘」ニコロ・アンマニーティ/荒瀬ゆみこ訳(La figla di Shiva,Nicolò Ammaniti,2012)
 ――肉付きのよいアメリカ人女性がインドの汚い路地を歩いていた。なんでもやってみること。それで起こるのは、最悪、トイレに駆けこむくらいのことだ。彼女は「シバの涙」という特殊なリキュールを飲ませる店に入った。

 著者インタビューもあり。スプラッタなショート・ショート。
 

「迷宮解体新書(72)倉知淳」村上貴史

「慈善」マイクル・Z・リューイン/武藤陽生訳
 

「書評など」
ポケミス『ジャック・リッチーのあの手この手』永田俊也『星になるには早すぎる』は、「風変わりな青春小説を得意とする作家」の最新作。ミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』ようやく出ました。ノンフィクションからは『うな丼の由来』、復刊・新訳からはクロフツ『樽』。漫画『名無しは一体誰でしょう?』。「観察により得たデータだけで、正解にたどり着く」というのが本格ミステリっぽいので気になる。

◆洋書ではMichel Bussi『Un avion sans elle』がとても面白そう。飛行機事故で唯一生き残った生後三か月の女児は、どちらの親の子どもなのか――?をめぐるサスペンス。
 

「ミステリ・ヴォイス UK(74)ポアロ閉幕」松下祥子
 デイヴィッド・スーシェによるポワロ・シリーズが『カーテン』で最終回を迎えたそうです。

 


防犯カメラ