『S-Fマガジン』2012年12月号No.681【The Best of 2001】

「アース・アワー」ケン・マクラウド/矢口悟訳(Earth Hour,Ken MacLeod,2011)
 ――財政界を仕切るフィクサーとして活躍するアンガス。だがその背後に謎の影が忍び寄っていた。(袖コピーより)

 暗殺に巻き込まれた被害者を処置するシーンであっと言う間に引き込まれました。
 

奉仕者《サーバー》と龍《ドラゴン》」ハンヌ・ライアニエミ/酒井昭伸(The Server and the Dragon,Hannu Rajaniemi,2011)
 ――遠未来、宇宙を創造せんとする“奉仕者”のまえにあらわれたのは、一匹の“龍”だった。(袖コピーより)

 「ヒズ・マスターズ・ボイス」の人。ギャグみたいなスケールの大きさ。この人のとっつきづらい文体が、人ではない存在との距離感としてちょうどいい。
 

「穢れた手で」アダム=トロイ・カストロ/小野田和子訳(With Unclean Hands,Adam-Troy Castro,2011)
 ――絶滅の危機にある異星人種族ジンは、進んだ技術を提供する引き替えに、地球人の犯罪者を求めた。

 よくあるパターンのコンタクトものを、子どものころに殺人経験のある人物の視点で描く。『シリンダー世界111』の前日譚。
 

「地図作るスズメバチ無政府主義のミツバチ」E・リリー・ユー/鈴木潤(The Cartographer Wasps and the Anarchist Bees,E. Lily Yu,2011)
 ――中国の農村に住むスズメバチは精緻な地図を作ることができた(袖コピーより)

 動物や虫の社会を描く作品はままあるけれど、人間社会との接点があるところが面白い。
 

「静かに、そして迅速に」キャサリン・M・ヴァレンテ/田辺千幸訳
 ――静謐な知床半島に建つ屋敷に暮らす家族を見守りつづける存在とは(袖コピーより)
 

「書評など」
◆カルロス・フエンテス『誕生日』

「むかしのエイリアンは成田空港のイミグレーションを通関してきたんだよ。」椎名誠
 

「SFのある文学誌」(12)長山靖生
 仮名垣魯文による、ナポレオンの伝記(と称する物語)。

「乱視読者の小説千一夜」(22)若島正

大森望の新SF観光局」(31)

「009 RE:CYBORG」神山健治監督インタビュウ

「現代SF作家論シリーズ(21)新井素子福本直美
 

「MAGAZINE REVIEW 〈インターゾーン〉誌 2012.5/6〜7/8」七瀬由惟
 240号(5/6号)は面白そうなのが多い。エリザベス・ボーン「獣たち」(Beasts)は、「美女と野獣」をモチーフにした作品。ラヴィ・ティドハー「雨の中の再会」(The Indignity of Rain)――父親の帰りを母と二人手を繋いで宇宙港で待つ男の子。レイ・クルーニー「血の衣」(Bloodcloth)――人々の血を必要とする「血の衣」というカーテン状のものに支配されている世界。トレイシー・ウェルザー「無毛族」(A Body Without Fur)――植民惑星で見つかった人類女性の惨殺死体、そして原住民視点の生態や文化。

 


防犯カメラ