『空が灰色だから』『のりりん』『青空エール』

空が灰色だから』(1)〜(3)阿部共実

 タイトルが気になって読んでみました。説明するのがむずかしい、ホラーあり人情あり恋愛あり(非)日常ありの短篇漫画。カバーデザインがちょっとアレですが、奇妙な味異色作家の小説が好きな人にはお薦めです。タイトルの由来は第三話「空が灰色だから手をつなごう」。母子家庭の一人娘は貧しくてゲームも買ってもらえないため友だちとも遊べない小学五年生・穂《みのり》のつぶやいた一言に、母親は……。第一巻おまけショートまんが「18歳の女のある日の感じたこと」は、風邪が流行っている図書館で起こった咳にまつわる笑い話。第二巻「信じていた」の残酷さも忘れがたい傷を胸に残します。逆転負けされて以来野球から遠ざかっているピッチャーに、幼なじみの女の子が発破をかける――という王道と思えて実は……。「私本当に最低だな/すまんかったな」という台詞が言える誠実さ健気さと、次のページの無言の行動が、ひりひりと痛すぎます。
 

のりりん』(1)〜(3)鬼頭莫宏

 『ぼくらの』『なにかもちがってますか』の著者による、人の死なない自転車漫画。とはいえ主人公は相変わらず屈折してます。自転車乗るやつは死ね。自分は死んでも自転車乗らない。というわけで、自転車の魅力に気づくまでがけっこう長い。部活ものとかだったら第一話で一目惚れ、な感じなんだろうけれど。でもそのおかげで、自転車に興味のないわたしでも、自転車好きのテンションに置いてけぼりを喰らわせられずに、主人公と一緒にゆっくりゆっくり自転車の魅力を学んでいけました。
 

青空エール』(1)〜(10)河原和音

 ジャンルとしては少女漫画。部活もの。ですが部活ものとしては少し特異な立ち位置です。主人公・小野つばさの所属するのは名門吹奏楽部なのですが、つばさが吹奏楽部に入りたかったのは、野球部の応援をしたかったから、という変わった理由でした。いつか吹奏楽から見た野球漫画、という側面も見られるのでしょうか。引っ込み思案で「いつも靴ばかり見てた」つばさを最初に信じてくれたクラスメイトの野球部員・山田大介のおかげで、「上を見れた。見上げた空は、青かった。」。少女漫画特有の都合のいい展開や人間関係はあるけれど、とにかく前向きで爽やかな作風が病みつきになります。
 

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