「乙女ミステリ序文」山崎まどか
乙女ミステリとは何かを、七つの特徴に沿って紹介。サラ・ウォーターズやケイト・モートンといった当然なものから意外なものまで。
「またたかない星《スター》」小泉喜美子(1977)
――あのとき、ドミニクは吠えなかった。去年の秋、気ままなスケッチ旅行に出かけたときのことだ。林のなかを歩いていると、垣根の向こうから声が聞こえ、少女の手が突き出された。「こ、これ、お願いなの!」指先には白い紙切れがあった。――助けて。監禁されているの。
ファンシーなつかみ、最高のロケーション、妄想の勝利。山崎まどかが挙げた乙女ミステリの要素に当てはまる少女小説。あるいは狂人、あるいは人物入れ替わり、どちらに転んでも古き良きミステリの魅力に触れられます。
「殺人って楽しいわよ」クレイグ・ライス/訳者不詳
「乙女ミステリのススメ/エッセイ」芹澤恵・大矢博子・千野帽子・トミヤマユキコ・渡辺麻紀
「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱(1)」高殿円
「ミステリヴォイスUK(76)シャーロック帰還!」松下祥子
英BBC『シャーロック』のシリーズ3について。
「カミのワンダーランド」
「初心者のためのカミ入門」ピエール・アンリ・カミ・高野
カミの翻訳作品書誌。
「チャプリンの戦争特派員」カミ/高野優訳(Charlot correspondant de guerre,Cami,1917)
――丁子打ちの仕事にうんざりしたチャプリンは、《日刊カミがかり》の戦争特派員に採用され、船底が上にあるため決して船底に魚雷攻撃を受けることのない《とんかつ丸》に乗り組んだ……
煤で汚れた顔をきれいにするため上から白粉を振りかける、というナンセンスが楽しい戯曲(?)。
「迷宮解体新書(74)逢坂剛」村上貴史
「万葉集から現代に至る日本語の変化に興味がある」とか、父親の中一弥は現在百三歳だとか、エピソードの一つ一つに興味が尽きません。
「書評など」
◆ポケミス『アンダルシアの夜』アレクサンドル・セーデルベリは、スウェーデンのクライム・ノヴェル。「アクションは上手い」「群像劇的」といったところに惹かれる。アンドレアス・グルーバー『黒のクイーン』は、「仕掛けのインパクトには一読の価値あり」。ほかにスーザン・ヒル『丘』、月村了衛『機龍警察 未亡旅団』、西本秋『天国ゆきカレンダー』、小野寺整『テキスト9』、バロネス・オルツィ『隅の老人【完全版】』など。