『NIGHT LAND ナイトランド』vol.6【特集 ゾンビ】

「殺りに行けるモンスター 現代ゾンビ物語考」霜月蒼
 ホラーにおけるゾンビの特徴として「魔力を持たない」という点に着目したエッセイ。

「狩り――そして、そのあとさき」ジョー・R・ランズデール/高山真由美訳(The Hunt: Before, and the Aftermath,Joe R. Lansdale,2012)
 ――妻のリヴィアがよそよそしくなったのは、私の不貞が原因だった。この旅行はまちがいだろうか。狩りの興奮がリヴィアの気分を高揚させてくれることに賭けた。すでに死んでいるものを殺すことはできないのだから、生きた鹿をしとめるほどの醍醐味はないかもしれない。

 ホラーというよりは夫婦の絆に焦点を当てた作品です。霜月氏が「パワハラ上司」云々と書いていますが、憎い相手に復讐できてしかも犯罪ではないというのはストレス発散には効果的かも。けれど割り切れないのが人の心のようです。。。
 

「忌まわしき艦影」デリク・ガン

「ロンドン死者戦争」ウィリアム・ミークル

「屍の顔役」グリン・バーラス&ロン・シフレット
 

《夜の声 ホラーの巨匠 作品とインタビュー」

マッキントッシュ・ウィリー」ラムジー・キャンベル/金子浩訳(Mackintosh Willy,Ramsey Campbell,1979)
 ――死体を見たのははじめてだった。公園の休憩所で聞こえたのは、ラジオの声だったのかもしれない。周囲の暗がりは動いているものだらけだった。男の見開いた濡れ光っている目からしずくが垂れていた。

「終わらない夢、想像力の闇」聞き手:ダレル・シュヴァイツァー/棚藤ナタリー訳(A Talk with Ramsey Campbell,Darrell Schweitzer,2004)

 クトゥルーものを多くものする作家による非クトゥルーもの。ラヴクラフト以外によるクトゥルーというとキャラ要素に重きが置かれている部分がなきにしもあらずだけれど、本来はこういったはっきりとは描かれない恐怖こそが魅力なのだろう――と、インタビューともども思った次第。
 

《センス・オブ・ホラー、ブラッド・オブ・ワンダー》第2回

「殉教」星新一
 ――「この機械は霊界にいる死者との通信ができるのです」壇上の男はそう言ってコップを飲みほした。医者が呼ばれてその死が確認された。その時、機械からいま死んだばかりの男の声が聞こえてきた。

 この世の終わりと残された選民なのだと捉えれば、これほど異様な光景はありません。何しろみんなみずから勝手に死んでゆくのですから。残された者は果たして何かが欠けている異常者なのか、はたまた新しい時代の開拓者なのか――。
 

アンドレアス・グルーバー×朝松健 来日記念/オーストリア・日本 ホラー対談」

 


防犯カメラ