『幽』vol.19【お化け好きに捧げる能楽入門】

 加門一行による心霊ツアーのようなサブカルノリは相変わらず。

「招魂し鎮魂するという日本人古来の心性」安田登ロング・インタビュー
 おくのほそ道の記述に異界を見出す視線。

「能と文芸と」桜庭一樹×津村禮次郎
 「上手なシテは、マスクに落ちる影の角度などもしっかり計算に入れて演じています」「目の瞳孔のところに開いている穴を裏から見ると、面の種類によって形が違うんです」「着けるとどうしても顎が出る。これはわざとそうしているんです」等といった打ち明け話が面白い。

「山また山を越え過ぎて――明治怪談文学史における能楽の影響をめぐって」東雅夫
 

「境界に舞い遊ぶ蝶――能装束の文様をめぐって」山内麻衣子
 日本人の極楽観に源氏物語が影響を与えていたとは驚きです。

大江山異聞――未刊謡曲復刻 「荒神宮」「雪山山伏」」
 

「幽的民譚(7)」南條竹則「コリンナについて」ジェイムズ・ブランチ・キャベル
 

「第2特集 幽VSムー」

「UFO遊び」水沫流人
 ――矢野洋一は扉の前に立った。「UFO超心理研究会」。先輩は研究会の存続をかけて新メンバーを入れ、UFOを呼んで学生会にアピールしようという。

 久々の水沫流人。変人サークルのぐだぐだした雰囲気に突如として襲いかかる「なんだかわけのわからないもの」のインパクトは強烈です。
 

夢枕獏山海経を語る」夢枕獏近藤瑞木・門賀美央子・東雅夫
 夢枕獏が所有する山海経の版木の由来をさぐる座談会。都合のいいくらいに大きな話になっています。

「江戸怪談実話の迷い道(9)髪の導く先にいわくあり」高原英理
 「髪切」や「墓磨き」ならまだしも妖怪っぽいのですが、洞窟に髪を貼りつけられて吊るされている「窟女」などは完全に人為をうかがわせて気持ち悪い。

「霊ガタリの系譜(2) 中国の鬼」佐野誠子・佐々木聡

「スポットライトは焼酎火(19)京極夏彦が読み解く日本の原風景を創った巨人たち」

 


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