『ふうらい姉妹』(3)長崎ライチ、『ミタライ 御手洗潔の事件記録』(1)島田荘司原作/原点火漫画、『ふぞろいの空の下』(01)〜(02)米代恭

ふうらい姉妹』(3)長崎ライチエンターブレイン Beam Comix)
 四コマなので誰が読んでもどれかはツボにはまると思います。わたしは、ラビット、一休さん、頼れる船長、ヒップホップのポーズ、などがツボ。遠足の話は普通のギャグっぽくて、しおりの顔もほかの回とちょっと違ってます。
 

『ミタライ 御手洗潔の事件記録』(1)島田荘司原作/原点火漫画(講談社モーニングKC)
 ルパンの漫画化『アヴァンチュリエ』もそうですが、単なるビジュアル化ではないミステリの「漫画化」が出て来たのは嬉しいところです。「糸ノコとジグザグ」は舞台を現代に移した意欲作。ネットを取り入れることでより疾走感が増し、バイクによる追跡を創造することでより緊迫感が高まり、デジタルによる検索ならではの盲点を「ジグソー」にからめることでよりテーマが深くなっていました。DJ林への御手洗の台詞は、「あんたの奇想が天を動かしたんだ」という吉敷の台詞へのオマージュでしょうか。カップリングはわりと近作の「傘を折る女」。原作を読んだときにはあまり印象に残っていなかった三宅刑事がコロンボみたいないい味を出しています。この作品は原作でも終わり方がほかの御手洗シリーズとは違っていて印象に残っていたのですが、独特の余韻は漫画版でも健在です。つか絵がうまいです。傘の殴り合いのシーンの迫力のあること。下手な人が書いたら間抜けにしか見えないだろうに。
 

『ふぞろいの空の下』(01)〜(02)米代恭太田出版ぽこぽこ)
 「いつかのあの子」「羽のとりは一緒に集まる」の米代恭による Web連載が始まりました。ホルモンの影響で乳房を持ってしまいながらもそれを受け入れている男性・壮と、ピザを届けに来た店員の修平――。鏡に映った乳房を見て愕然とするシーンがこの人らしい表現でした。現実にはある日突然巨大化したわけではないのだから、あの描写は心象風景にほかならないわけで、時間軸や現実と夢などを自在に組み合わせるこうした手法に長けている人という印象です。ただ、それだけに――『アフタヌーン』の短篇の白と黒の使い方や間の取り方からも、志村貴子の影響を感じずにはいられないのですが、それでこうしたテーマを選ぶ、というのは、無謀というか何というか。。。敢えて意識的にチャレンジした、のでしょうか?
 

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