『Nemuki+(ネムキプラス)』2014年3月号

 待っていました! ほんとうに待ちくたびれました! オガツカヅオ復活です。『りんたとさじ』ではなく『いついたるねん』の方ですが。『りんたとさじ』も復活してほしいなあ。
 

「眠り屋敷」あらまき美里
 魔法や不思議が大好きな夢見る少女リノは、洋服ダンスにもぐりこんだり魔法学校からの入学案内を待ち望んだり、メリー・ポピンズのように日傘を差して歩く女の子だった。不思議なものが見える少年カナ太と仲良くなり、「オバケ屋敷」を訪れるが……。

 メアリー・ポピンズの傘、「妖精なんていないと子供達が口にするたび……」というピーター・パンの台詞、「起こさないで!!」や作品の根幹に関わるネタなどのアリス物語。ファンタジーに留まらず本好きの心をくすぐるという点に絞れば、森谷明子霜降――花薄、光る。」、ネルスン・ボンド「街角の書店」、ゼナ・ヘンダースン「ページをめくれば」といった作品につらなる感動をもたらしてくれます。
 

百鬼夜行抄』102「雛人形の無い家」今市子
 飯島家にはないはずの雛人形を、環姉さん斐姉さんは子どものころ見たことがあるという。一方、父親の遺品整理をしていた山瀬には、父親から「人形が来ても家に入れてはいけない」と言われた記憶があった……。

 守護霊と悪鬼の取り違えパターンの作品です。開さんすっかり復活してます。律はほとんど脇役で、お祖父ちゃんの影が色濃い作品でした『百鬼夜行抄』には珍しく、悪鬼退治で、なのに青嵐が出てこないというのも変わっています。
 

『未知庵のきなこ体操』「彼女の気持ち」未知庵
 今回はキャラクターで遊んでいません。お弁当を骨壺みたいに首から提げるゆき子さんと茄子のピアスくらいでした。

「ミルトキク」夏江まみ
 幼なじみの矢野七瀬の母の死をきっかけに、俺・淡は「見える」ようになり、七瀬は「聞こえる」ようになった。「見える」のをいいことに、俺は矢野家にこき使われるさんざんな日々を送っている。

 新人デビュー作。多田由美米倉斉加年宇野亜喜良を思わせるような繊細で病的な絵が特徴。
 

『いついたるねん』「子供」オガツカヅオ
 親友の博子の子供が貯水池に落ちたという通報があり、捜索隊が何度も底をさらいましたが、まだ遺体は見つかっていません。「明日香、子供なんて絶対に作っただめよ。嫌いになった男にどんどん似てくるんだよ。マジ嫌になるわ」

 霊が見える主婦・明日香と自分が死んだと自覚している関西弁の少女の霊・ノエの日常を描いた『いついたるねん』の最新作です。『りんたとさじ』でも多用された著者得意のパターンですが、「浮かんできた」シーンの容赦ない描き方や、「サイレンの音」と「鳴りつづける電話」で終わるラストなど、独特の感性と余韻は健在です。次号も登場! 4月12日発売の5月号が楽しみです。
 

 


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