『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』16・17(アシェット)

ミステリーゾーン』16「33号機の漂流」「強いぞディングル君」「ノイズに憑かれた男」

「33号機の漂流」(The Odyssey of Flight 33,1961.2.24)★★★★☆
 ――ニューヨーク行きのジェット旅客機33号機は、気流に流されたようにして音速を超え、無線も通じない。窓の外には恐竜が……。

 すべて機内、それもほとんどが操縦室だけで繰り広げられるにもかかわらず、第2シリーズ最初の数話とは違い、中だるみせずに緊迫感を保っているのは、複数の人間による疑問と応答という形が一つ功を奏しているのでしょう。音速を超えると(光速ではなく)――というSF的な理由づけがなされているのも特徴です。理性的な対応に加えて、一定の法則に基づいた挑戦――パニックものとは違う明確な面白さがここにはあります。現実の現在に通じるクロージング・ナレーションがおしゃれでした。
 

「強いぞディングル君」(Mr. Dingle the Strong,1961.3.3)★★★★☆
 ――力もない、知能もない、仕事の才能もない掃除機のセールスマン、ルーサー・ディングル。そんな無能なところに目をつけた火星人が、ディングルを実験台に選び、300倍の力を与えた。

 バージェス・メレディス主演。力を得たディングル君がハッスルするコメディですが、もぐりの賭博師と自分勝手な賭け好き親父の野球賭博といった、古き良き酒場の光景も印象に残る作品でした。
 

「ノイズに憑かれた男」(Static,1961.3.10)★★★★☆
 ――テレビが大嫌いなエド・リンゼイは、ラジオだけを愛していた。昔懐かしい番組やタレントが話していると言ってみんなに聞かせようとするが、ラジオからはノイズしか聞こえない。

 チャールズ・ボーモント脚本。ほかの回と比べて画質が悪いです。不思議や怪異だけではなく、元婚約者によるエドへの真摯な訴えがこれまでの作品とは一線を画する作品でした。というよりも、そもそも不思議といえるほど不思議なできごと自体が起こりません。古き良き時代を懐かしみ、エドへの理解を示しながらも、飽くまで理性的な教授と、郷愁にのめり込むエドの、二者二様のやり取りがちょっとだけ寂しく、ちょっとだけほっこりします。
 

ミステリーゾーン』17「サイコロ人生」「長距離電話」「砂の上の宝」

「サイコロ人生」(The Prime Mover,1961.3.24)★★★★☆
 ――エイスはギャンブル好きの駄目男。ひょんなことから同僚のジンポーが思っただけで物を動かす能力を持っていることを知り、カジノで大もうけしようとする。

 チャールズ・ボーモント脚本。超能力者が主役の怪異譚かと思いきや、ギャンブル狂のバカ男の愚かな物語でした。けれど最終的には超能力者が主役になる(ほかの作品の悪魔や天使のような役割を担う)点、構成に工夫の見られた作品でした。
 

「長距離電話」(The Long Distance Call,1961.3.31)★★★★☆
 ――おばあちゃんはビリーのことが可愛くて仕方がないが、自分がもう長くはないことを知っていた。プレゼントに玩具の電話機を与え、もう会えないであろうことを伝えてから、息を引き取る。やがてビリーは受話器に向かい「おばあちゃん…」と話しかける……。

 チャールズ・ボーモント&ウィリアム・イーデルソン脚本。死の床の枕元で、息子に向かって「おまえはシルヴィア(嫁)のもので私の息子じゃない」、孫に向かって「息子はおまえ。一人では寂しい。一緒に来てほしい」と言う、とんでもないおばあちゃんですが、このおばあちゃんが孤独で疎外されているような描写がもう少し前段階にあればもっと哀切な物語になっていたと思います。終盤、受話器に向かって訴える父親の姿が胸を打ちます。
 

「砂の上の宝」(The Rip Van Winkle Caper,1961.4.21)★★★★☆
 ――ファーウェルたち四人は睡眠ガスを使って列車強盗をしたあと、人口冬眠で100年経って安全になってから金塊を使おうとする。100年後、目覚めたのは三人だけ。ファーウェルたちは金塊を背負い町を目指す。

 悪人が集まれば物事がうまくいくはずもなく、目覚めたあとはサバイバルの様相を呈し始めます。一人また一人と脱落してゆくお約束にはらはらしました。それにしても100年は待ちすぎでしょう(^^;。
 

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