『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』44・45(アシェット)

ミステリーゾーン』44「太陽が二つ輝く」「車は知っていた」

「太陽が二つ輝く」(On Thursday We Leave for Home,1963.5.2,ep118)★★★★☆
 ――宇宙開拓者たちがこの星に来てから三十年、ベンティーン隊長のもと、荒れ地のなかで何とかやってきた。そんな折り、地球から宇宙船が迎えにやって来るという報せが届く。だが船はなかなかやって来ない……。

 哀しいなあ、これは。。。自分の世界(というのがそもそも勘違いなのですが)を奪われて、それを受け入れられないなんて。ただの意地だと思っていたものが、30分くらいとのころで狂気だと判明するのですが、三十年というのは考えてみると長い時間で、人を変えてしまうだけの時間なのですね。
 

「車は知っていた」(You Drive,1964.1.3,ep134)★★★☆☆
 ――善良な市民オリバー・ホープは、自転車の少年を車ではねてしまい、そのまま逃走してしまった。その日から、ガレージの車から勝手にクラクションが鳴ったり、車の操作が利かなくなったりと、不思議なことが起き始める……。

 車が勝手に動き出すところと、轢き逃げ犯であること、が、直接的には結びつかないのですが、なるほど最後にそうなるからということのようです。邦題だと「告発」のような印象ですが、むしろ「良心」の話です。翻って車がオリバーの良心なのであれば、クラクションとは良心の声なのでしょう。
 

ミステリーゾーン』45「霧に消えた船」「ある改造」

「霧に消えた船」(Passage on the Lady Anne,1963.5.9,ep119)★★★☆☆
 ――結婚六年目のランサム夫妻は、イギリスへ旅行に出かけた。妻の希望で船旅にしたかったが、空席は老朽船レディ・アン号しかなかった。せっかくの船旅も、仕事にかまけて妻を顧みない夫との喧嘩になってしまう。船客は老人ばかりで、夫妻が船に乗るのを止めようとするのだった。

 チャールズ・ボーモント脚本。一つ目のコマーシャル前の一言が強烈で、何かあるとは思っていながらも、完全な不意打ちでした。それでなくとも死出の旅だということははっきりしているのですが、滅びゆく者たちの集まりにまぎれることで、却って不和の夫婦が絆を取り戻してゆくところに救いがありました。ある意味では「今を生きる」ことを貫いた人たちだったのでしょう。
 

「ある改造」(Number 12 Looks Just Like You,1964.4.24,ep137)★★★☆☆
 ――ある年齢になると誰もが美男美女に改造する世界。だがマリリンは改造したくなかった。みんな同じ顔になるなんてごめんだった。大人たちはマリリンを異常だと考え、説得しようとする。

 ジョン・トマーリン脚本。原作はボーモント「変身処置(Beautiful People)」。美醜の問題だけに留まらないところが問題を複雑にしています。後半になって改造する側をマッド・サイエンティストのように描くのはフェアじゃない――と思っていたら、そういうオチが待っていましたか。かぎられた短い放映時間のなかでは、どちらかが正しくどちらかが間違っているというような単純な図式にせざるを得ず、そうした制約のなかでうまく落としていると思います。
 

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