『ミステリマガジン』2015年11月号No.713【これが冒険・スパイ小説だ!】

「座談会 架空 冒険・スパイ小説全二十巻をつくる」北上次郎×霜月蒼×関口苑生×古山裕樹×吉野仁
 来年1月刊行予定の『新・冒険・スパイ小説ハンドブック』に掲載予定の座談会の冒頭部分。新世紀の――というわけではなく、「いままでの概念は全部捨てて」「これが『冒険スパイ小説だ!』というラインナップを決め」る――という内容。要はただのオールタイム・ベストですが、霜月さんが各巻ごとにテーマを決めて作品を選んでいて、その理由がいちいち説得力があって、端的な作品解説ともなっており、架空の全集ならびに座談会として面白い読み物でした。

ギャビン・ライアルにたどりつくまで」志水辰夫

「ジャック・ヒギンズ 〈ツボ〉という名の機雷」月村了衛
 座談会でも名前が挙げられていましたが、月村了衛が〈冒険小説〉というのが個人的には意外だったのですが、それはともかく『鷲は舞い降りた』に対する著者の〈好き〉が伝わってくる文章でした。

「私の好きな作家というよりも、私が無視できない先人としての山中峯太郎芝村裕吏

「マーク・グリーニとのQ&A」
 

「すべての小説は冒険小説である」逢坂剛(談)
 

「第5回アガサ・クリスティー賞 受賞の言葉&選評」
 清水杜氏彦『うそつき、うそつき』が受賞。
 

「迷宮解体新書(89)深緑野分」村上貴史
 『オーブランの少女』『戦場のコックたち』どちらもかなりツボな紹介文なのですが、『ミステリーズ!』で読んだ「仮面」の自分の感想を見たら「ちっとばかり説教臭い」と書かれていた。読み返してみるか……。デュ・モーリアとか桜庭一樹とか気になる名前も出ているし。
 

「ミステリ・ヴォイスUK(91)今年の話題作」松下祥子
 ミレニアム・シリーズの〈新作〉など。
 

「書評など」
深木章子『ミネルヴァの報復』は、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作家の新作。ほかにカーの孫娘が書いたシェリー・ディクスン・カー『ザ・リッパー』、米澤穂信『王とサーカス』、ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』、横溝正史『鬼火 オリジナル完全版』、『少女小説事典』など、気になる作品。

◆DVDでは、TSUTAYA復刻シネマライブラリーより、『生きていた男』、『見えない恐怖』など。
 

小鷹信光ミステリマガジン 創刊号」
 小鷹信光小特集の第一弾。鏡明との対談や、ロングインタビューなど。

  


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