『good!アフタヌーン』2016年1月号「セーラー服を燃やして」椎名うみ・「わたしのいぶき」土橋田アキラ、『ひとりぼっちの地球侵略』9

good!アフタヌーン』2016年1月号(講談社

「セーラー服を燃やして」椎名うみ ★★★★☆
 ――内藤が学校に来なくなってから一ヵ月。「えっ内藤って学校休んだことないの?」そして次の日内藤は学校を休んだのです。次の日も、その次の日も。「小谷さん、どうして内藤さんは来ないのかしらね」「先生、殺人事件の犯人を追ってるみたい……」「たった一人の友達のあなたがそれじゃ、内藤さんが救われないわ」「……でも内藤ほかにも友達いますよ」

 四季賞出身デビュー作。不登校になった内藤さんを〈救う〉ため、「自分の信じたいものを信じる」大人たちがよってたかって自分たちの安心できる「原因」を見つけようとする様子を、子どもの視点から描いています。意思の疎通がまったくできないところは、大げさでも何でもなく、とてつもないホラーです。あまり上手いとはいえない絵やぎこちないコマの進め方が、却ってこのディスコミュニケーションの気持ち悪さを巧く表現しているようでした。
 

「わたしのいぶき」土橋田アキラ ★★★★☆
 ――司書の園原は声が小さく、大きな声を出すのが苦手だった。そんな園原に、読み聞かせ会の読み手担当が回ってきた。そんなある日、園原は図書館の利用者に声をかけられた。「お姉さんてすごく、いい声してるなって」。声フェチのパチンコ店員・南波リヨだった。

 四季賞出身デビュー作。無駄にエロチックなところが気になりますが、自分の嫌いなところを褒められる喜び、コンプレックスの克服――といったツボを押さえつつ、コンプレックスの克服以上の不思議な能力が飛び出すところに、予想のつかない魅力がありました。
 

『ひとりぼっちの地球侵略』9 小川麻衣子小学館ゲッサン少年サンデーコミックス
 ――修学旅行に出かけた大鳥先輩とアイラ。寂しがる岬一をよそに、修学旅行先ではお決まりのイベントが発生。修学旅行から戻ってきたころ、「港」を抜けた形跡はないのに宇宙人の襲撃が始まった。そして凪の右腕が正体を現した……。

 スケールが大きくなってきました。正体の、響きがいいです。著者は以前に飛行機漫画を描いていた漫画家さんなんですよね。カバーイラストが飛行機に乗っている二人とリコ。わくわくするイラストです。
 

   


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