『闇の喇叭』有栖川有栖(講談社ノベルス/講談社文庫)★★☆☆☆

 有栖川氏の新シリーズ第一作ですが、なかなか江神シリーズを越えるのは難しいようです。

 メイン(?)の人物入れ替わりはなるほど現代日本を舞台にしようと思えばパラレルワールドでなければ出来なさそうですが、それ以外のこととなると、少なくとも本書ではうまく機能していません。墜落トリックのしょぼさは言うに及ばず。探偵禁止令という設定もまるで活かされません。露骨に南北朝鮮を意識した戦後南北日本を俎上に載せた、社会諷刺だけが空虚にからまわりしていました。三部作(?)の第一作らしいので、二作目以降に期待です。

 戦後、日本は南北に分断され、北海道は独立国家となった。――平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立した現代。少女・空閑純《そらしずじゅん》は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた。母の故郷に父とともに移住し、母の帰りを待つ純だったが、身元不明の他殺死体が発見され、父子は事件に巻き込まれる! 有栖川有栖が探偵の存在意義を問う、待望の新シリーズ開幕!!(カバーあらすじより)

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