『ミステリーズ!』vol.77【名探偵ルーフォック・オルメスがやって来る!】

「ルーフォック・オルメス対帆村荘六芦辺拓

「名探偵ルーフォック・オルメスの書誌事件簿」北原尚彦

「オルメスの魅力」高野優
 

北村薫×深緑野分トークショー」池澤春奈司会
 深緑野分の読書歴、ペンネームの由来、参考文献の数などが話題にあげられていました。
 

「特別対談 ミステリと科学捜査」芦辺拓×平岡義博
 科捜研と鑑識課の違いや、指紋と足跡、科警研と科捜研の違いや、科学捜査への誤解や、芦辺作品の科学トリックについて、など。
 

「名探偵にならなくちゃ」篠澤寄夫 ★★★★☆
 ――お父さんが帰ってくる前に犯人をみつけないと、弟の倫が死んでしまう。お母さんがいなくなってから、お父さんは僕らを殴るようになった。警察で働いているお父さんの手帳には殺人事件の捜査内容が書かれていた。考えているうちに犯人がわかったので、こっそりと犯人の名前を書きこむと、その日は殴られなかった。そんなことが続いた。その日の手帳には、老人が鈍器で殴殺されたという事件が書かれていた……。

 安楽椅子探偵とタイムリミットサスペンスに、児童虐待という背景によって必然性を持たせている(というか密接に関わり合っている)点だけでも高評価のポイントです。それに加えて、普通であれば異常な動機に分類されるであろう発想が、探偵役のそうした背景によって説得力どころか必然性をももたらされているに至って、作品全体の完成度も高いものになっています。社会性、家族、謎解き、すべてにおいて申し分ありません。
 

「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 魅惑の翻訳ミステリ叢書探訪記 (28)【異色探偵小説選集】編その1」川出正樹
 

「レイコの部屋」
 ゲストには本格ミステリ大賞受賞者の鳥飼否宇がゲストです。福武書店の編集者時代のエピソードに、死刑囚ばかりが世界中から集められた監獄という設定の世界で起こる事件を扱った受賞作『死と砂時計』のこと、奄美野鳥の会アマミヤマシギの生態についての発見など、作家本人や話自体が面白い方です。『死と砂時計』は『ミステリーズ!』で1話と2話を読んでいました。

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