『Dr.パルナサスの鏡』(The Imaginarium of Doctor Parnassus,2009,米・カナダ)★★★☆☆

 テリー・ギリアム監督。ヒース・レジャージョニー・デップリリー・コールクリストファー・プラマートム・ウェイツほか出演。

 大道芸一座の長・パルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、悪魔《ニック》(トム・ウェイツ)との契約で、永遠の命を手に入れた。だがその代償に、娘であるヴァレンティナ(リリー・コール)が16歳になると連れ去られてしまう約束だった。娘の16歳の誕生日が近づくころ、タロットでハングマンのカードが出る。直後、ヴァレンティナは橋の下で縊られていたトニー・シェパードという男を見つけ、命を救う。誕生日を前にふたたび博士の前に現れた悪魔は、誕生日までに先に弟子を五人集めるという賭けをもちかける。山師のトニーのアイデアや口のうまさも手伝って、客も集まりだしたように見えたが……。

 願望を映す鏡のなかをはじめとする映像美は一級品です。初めに鏡に入ってしまった男が見た、空に浮かぶクラゲの群れ。若いころの博士ともに世界を作る物語を紡いでいた、茣蓙に浮かぶ僧侶たち。川の上でダンスをしている――ように見えた、橋の下で首を吊っている男の水面に映る影。看板がスライドして出てくるエンドロール……。

 各所で出てくるこうしたイメージの喚起力や絵的な吸引力は素晴らしく、文句のつけようがありません。

 一方で展開が遅く、もたもたしてしまうのも、いつものテリー・ギリアムという感じです。特に後半トニーの願望になってからのグダグダ加減は正直ついていけませんでした。

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