『Our lady of Darkness』Fritz Leiber,1977年。
クラーク・アシュトン・スミスの遺した日記がきっかけとなって、スミスにかけられた呪いに怪奇作家が巻き込まれるという、かなりバカバカしいお話。
都市と建造物を利用した魔方陣というアイデアが、本書を現代のオカルト小説たらしめていますし、スミスをはじめとした実在の人物や場所に言及することで、都市伝説めいたリアリティを醸し出していますが、そのせいでかえって、せいぜいのところ凝りに凝った悪ふざけといった作品になっています。
ハープシコードを演奏して(我知らず)白魔術を操る恋人や、主人公が怪異の相談にいく変態のオカルト専門家など、登場人物は濃い。
日記に書かれた「ローズ六〇七」とは何処なのか? 主人公を襲うようになった超自然の存在は何者なのか? 謎を追うようなストーリーにもかかわらず、寄り道が多くてイマイチ乗り切れない作品でした。
ド・カストリーズという謎の人物が書いた『メガポリソマンシー』と、クラーク・アシュトン・スミスのものとおぼしき日記。この色あせた二冊の書物を、ダウンタウンの風変わりな古本屋で買い求めたのがそもそものきっかけだった。古ぼけたその日記に記されていた〈ローズ607〉という謎の言葉に魅せられた怪奇作家フランツは、霧に包まれたサンフランシスコを彷徨するうち、やがて恐るべき出来事に巻きこまれていく……。摩天楼の建ち並ぶ幻想都市サンフランシスコを舞台に、言葉の錬金術師フリッツ・ライバーが綾なる世にも不思議な物語。1978年世界幻想文学大賞受賞作!(カバーあらすじ)
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