「無限の住人~幕末ノ章~」滝川廉治原作/陶延リュウ漫画/沙村広明協力
――アメリカから日本に戻ってきた万次。「今度は人の命を護ってみてはどうじゃ」という坂本龍馬の言葉に動かされ、京を訪れた万次は、新撰組と手を合わせるはめに。
『無限の住人』公式スピンオフ。作画どころか原作も別人でした。巻末「もうしませんから」によると、四季賞の新人さんを育てるという意味合いもあるそうで、原作はライトノベル作家、作画は四季大賞「百大兵器譜」の作者です。
比べるのは酷だけれど、止め絵はともかく動きのある絵だと躍動感がまったくありません。新撰組との二太刀目、三太刀目の構図は、24巻の馬絽祐実の最期を髣髴とさせるだけに、実力の差は歴然です。アメリカ戦の光線銃みたいな弾道はわざとなのでしょうけれど、それもうまくいっていませんし。今はおそらく原作の絵に似せようと頑張るので精一杯なところだと思うので、そこらへんをうまくコントロールできるようになってからに期待します。作画はともかく原作も今のところ、あの人物が出てきた!というワクワク感を感じられないのは心配ですが。
「天国大魔境」16「100%安全水」石黒正数
――「おねえちゃん、俺の気持ちわかる!?」「マルくん、僕の事、女だと思ってる? 男だと思ってる?」「えっ……」きれいな水を求めて町にやってきたマルとキルコは、怪物に遭遇し……。
今回は状況に進展はなく、マルとキルコのギャグとサバイバルが中心の回でした。
「ヴィンランド・サガ」161「シグルドの決断」幸村誠
――偶然グズリーズの気持を聞いてしまったシグルド。グズリーズを連れ帰ってくると啖呵を切って家を飛び出したシグルドだったが、「シグやんが本当に望んでいることはなに?」というデブの言葉を思い出し……。
ようやく「バルト海戦役」が終わりました。読者はグズリーズたちの冒険をあれこれ見てきたからまだ納得もできるでしょうが、シグルドにとっては久しぶりに会ったらすべてが変わっていた状態なわけです。そんな状態で決断できるのは本当に男らしい。
「ワンダンス」5「振り付け」珈琲
――選考に洩れたことに納得がいかず、部長に理由をたずねる仁上。理由をさぐるため、仁上は湾田たちと一緒に練習の動画を見ることにする。
「みんな同じ形にしなきゃ」ってちょっとコワくない?という部長のせりふは、ダンス以外にもいろいろ言えることですね。
「スキップとローファー」10「シトシトの梅雨入り」高松美咲
――好きな人が出来たというふみからの電話。けれどそれどころではない。今日は二週間後に控えた前期期末テストの範囲が発表される。けれどそんな日に寝坊した志摩くんは風邪を引いたと嘘をついてずる休み。学校に来たくないのかと心配するみつみだったが……。
みつみも恋に興味はあるんですね。試験に余裕のみつみのドヤ顔がかわいい。いつものようにほんわかとは行かずに、ちょっとした掛け違いでシリアスな展開に。
「フラジャイル」61「冷たい選択肢」草水敏/恵三朗
――癌患者・作山紀子のためにできることはないかと、円の大学の会議にも押しかける稲垣。祖母・紀子のことが大好きな中学生の郁は、野菜で癌が治るという本を見つけて希望を持つが……。
患者に納得してもらってめでたしめでたし……だと思っていましたが、そうではありませんでした。その後も患者や家族の人生は続いていきます。死を待つ人の前で医学に何ができるのか。岸先生の目がすごく優しい。著者のことばにもありましたが、主役(?)の宮崎先生と森井技師の出番がありません。
「荻野」在間十毅
――高校生の荻野は公衆便所でおっさんを殴り、教師のコーヒーに石鹸を混ぜ、ほかの生徒からは恐れられていた。そんな荻野がある時いじめられていた子犬を拾い、育て始めた。
四季賞2019春佳作受賞作。何というか、「不良が子犬を拾っちゃった」というベタなネタをやりきった作品です。不良はとことん不良で周囲の理解など一切なく、感情も一切見せません。だからこそ感情を見せる場面が生きてくるわけですが、もとがベタなネタなのでやっぱりベタです。意識高い感じの作風で好きではありません。
『ハコヅメ』7 泰三子(講談社モーニングKC)
ギャグに――というより、川合の天然毒舌ぶりに磨きがかかっていました。普段はすっとこどっこいなコンビですが、山田と川合がそれぞれ源部長と藤部長を尊敬しているのだとわかるエピソードが、いい話です。留置場と取調室間の付き添いや、強姦被害者の聴取など、川合も新しいことを覚えて成長していきます。
『レディ&オールドマン』7 オノ・ナツメ(集英社ウルトラ・ジャンプ・コミックス)
ロブを追う人々がラスに接触しはじめました。そしてようやくロブとラスの過去が明らかに。愛人リアの過去エピソードの番外編収録。