『本屋さんのダイアナ』柚木麻子(新潮文庫)★★★★★

 相変わらずタイトルだけでグッと来ます。

 おまけに、著者の作品のなかでもとりわけ前向き度と本好き度の高い方です。

 黒髪のお嬢様と、金髪キャバ嬢の娘――正反対の二人は、大の親友になります。

 著者の作品を読んでいつも驚かされるのは、主人公たちの成長を最後まで見届けるところです。この作品でも、初めは小学三年生だったダイアナと彩子が、二十二歳になるまでが描かれていました。

 お互いに憧れるだけの存在だったころから、進路や社会のことを考えなくてはいけなくなるころまで、本と友だちと家族を糧に、強く生きる二人に勇気をもらえました。

 自分ひとりで道を切り開いたティアラの姿がなかでも印象に残ります。かっこいいお母さんですね。

 私の名は、大穴《ダイアナ》。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。(カバーあらすじ)
 

  


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