100号記念でくらりシール付きです。
「私の一冊」加納朋子
これは当然という感じで、北村薫『空飛ぶ馬』でした。
「紅葉の錦【解答編】」麻耶雄嵩
説明されると本当に単純な消去法なのでわからなかったのが口惜しい。本篇部分は手堅い犯人当てでありながら最後の最後にとんでもないことをしてくるのが著者らしい。
「祝電。」「時は対なり。」泡坂妻夫
――これまで司会を頼まれてきたなかで忘れられないのは、プロ野球選手HとアイドルNの結婚披露宴だったね。Nは二十四歳。十代にしか見えない顔をしていたんだが、実際には子供を一人生んでいたんだ。こっそり生んで、養子を欲しがっていた夫婦に預けたんだ。/相沢とは対照的に、青木はがりがりに痩せていた。ふたりとも相手の新しい綽名を思いつくと罵倒し合ったものだ。でぶ、ぶく、ふやけたビア樽……ぎす、がり、飢えてる蚊トンボ……十五年前の高校時代の同級生から、同窓会の案内が届いた。
『幻影城』終刊号(→)に発掘掲載された単行本未収録ショートショートの再録。「祝電。」はホラー。「時は対なり。」は人生の悲哀。悪口のセンスに、ことば遊びも好きだった泡坂氏らしさを感じます。
「繰り返し読みたい泡坂妻夫」野地嘉文
「私はこれが訳したい(51) ANYA'S GHOST」三辺律子
「翻訳ミステリ四十年(5)クラシック・ミステリと北欧勢躍進で幕を開けた21世紀」松坂健/新保博久
クラシック・ミステリ・ブームが起こった理由として、話題作の版権の高騰化、インターネットによって原書入手が容易になったこと等、複数挙げられていました。クラシック・ミステリが本格ミステリ風味に偏っているという松坂氏の指摘に対し、本格ミステリファンは「寛容」だとという新保氏の表現が面白い。
「デビュー30周年記念 鼎談 有栖川有栖×北村薫×宮部みゆき」
三人とも「鮎川哲也と十三の謎」でデビューした同期なんですね。北村氏に誘導されて有栖川氏がいろいろ話してくれています。ミステリは謎からではなく原理から考えていることや、絵になる本格とあやとりの本格という感覚的ながらうなずける分類など。そして最後には北村氏によって創元推理文庫でアンソロジーの予告(?)が。
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