『ミステリマガジン』2021年1月号No.744【ミステリが読みたい!2021年版】

 ランキングと総括とアンケート。国内一位が辻真先作品というのは、失礼ながら意外でした。ベテランだけどランキングに入るタイプではないと思っていたので。

 日下三蔵氏が霜月蒼氏に勧められて三位に入れた『魔女の組曲』は刊行時にはノーチェックでした。千街晶之氏も第一位に入れているということは本格系なのでしょうか。佳多山大地氏のコメントの半分が宣伝で半分が読んだ本の感想なのには笑いました。編纂した『線路上の殺意 鉄道ミステリ傑作選〈昭和国鉄編〉』への関わり方は、編集だけなのか解説も寄せているのか気になります。
 

「第10回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作刊行&選評」
 大賞受賞作『地べたを旅立つ』そえだ信は、掃除機に転生した男が姪を守るために旅に出るという、思わず笑っちゃうけれど何故だか読みたくなってしまう内容でした。優秀賞受賞作『ミゼレーレ・メイ・デウス』宮園ありあは十八世紀末のフランスを舞台にした歴史ミステリ。
 

「迷宮解体新書(119)斜線堂有紀」村上貴史
 ランキングでも『楽園とは探偵の不在なり』が第二位にランクインした著者インタビュー。あらすじを読むかぎりでは『楽園~』よりむしろデビュー作『キネマ探偵カレイドミステリー』の方が面白そうです。
 

「書評など」
逢坂剛『鏡影劇場』は、アンケートで小山正氏が第一位に入れていました。千街氏によるレビューでは「(E・T・A・)ホフマン・ミステリ」と書かれてあるのが気になります。

『ナイルに死す〔新訳版〕』は、新保教授によると旧訳ではアンフェアになっていた箇所が訂正されている(242ページ3行目)そうです。
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