『惑星クローゼット』4、『ハコヅメ』12

『惑星クローゼット』(4)つばな(幻冬舎バーズコミックス)
 最終巻。クローゼットといえばナルニア国、というわけで漠然と「別の惑星と行き来できる出入口」くらいの意味だと思っていたのですが、ここに来てしっかりクローゼットを描いてきました。意思を持つ(かどうかもよくわからない)惑星というのはソラリスでもありますし、他者の存在によって実在性を保つというのもどこかにあったと思います。もともと『七女』や『バベルの図書館』などのタイトルでもわかるとおり、既存作へのリスペクト傾向の強い作家で、それをこの可愛い絵でやってしまうというのが新鮮です。

 キモカワな(あるいはキモい)エビなどを得意として来た著者がはじめて挑んだ本格的ホラーで、これまでの三巻では伸びる胴体や重なる顔など、独特のキモチワルサに溢れていましたが、最終巻ではこれまで溜めていたものを一気に吐き出したようなスプラッタ展開もありました。いくら可愛い絵でも結構キますね。
 

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(12)泰三子(講談社モーニングKC)
 同期の桜篇、完結です。シリアスなエピソードのクライマックスなのに、コーヒーコントや親子コントといったくだらない笑いを入れてくる辺りがハコヅメです。コーヒーの話は、意味のないドタバタな笑いではシリーズ中でも一、二を争う出来でした。シリアスなエピソードの流れのなかで、源部長の父親という新キャラを無理なく自然な形で登場させるようなテクニックもあります。感動の最終エピソードのなかに、「それ私の大事なゴリラだし」という台詞をさらっと混ぜ込んだり、何よりありがちなラストの集合シーンにセルフツッコミを入れるセンスだとか、ますます脂が乗って来ていました。

 読み返してみると、松祭で飲んだ話は4巻。結構前でした。その時点で、サブちゃんにもらったと話しているんですね。
 

   


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