『ビリー・ザ・キッド全仕事』マイケル・オンダーチェ/福間健二訳(白水Uブックス 海外小説永遠の本棚)★★★★☆

 『The Collected Works of Billy the Kid』Michael Ondaatje,1970年。

 全仕事とはいうものの、もちろんビリー・ザ・キッドに著作があるわけではありません。ビリー・ザ・キッドが書いた架空の詩というアイデアを出発点に、写真やインタビューや証言や他人の書いた著作まで取り入れられています。異なる語りによってさまざまな角度から描かれた小説は数ありますが、こうしたコラージュのようなものは意外とありませんでした。

 これを読めばビリーのことがすべてわかる――はずもありませんが、そこは世の評伝とて同じこと。散文とは違った生の声が立ちのぼってくるようです。

 詩というものがもともと翻訳に馴染まないところに隔靴掻痒の感があります。

 左ききの拳銃、西部の英雄ビリー・ザ・キッド。その短い生涯は数多くの伝説に彩られている。宿敵パット・ギャレットとの抗争、流浪の日々と銃撃戦、束の間の平和、逮捕と脱走、その死までを、詩、挿話、写真、架空のインタビューなどで再構成。ときに激しい官能、ときにグロテスクなイメージに満ちた断片を集め、多くの声を重ねていく斬新な主張でアウトローの鮮烈な生の軌跡を描いた、ブッカー賞作家オンダーチェの傑作。(カバーあらすじ)

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