『ブランクスペース』(1)熊倉献(小学館ヒーローズコミックス)★★★★★

 『春と盆暗』『生花甘いかしょっぱいか』で冴えない男子とS・F少女の恋愛(未満)を描いてきた熊倉献、最新作です。

 同級生の男子に失恋した狛江ショーコは雨に降られて帰るなか、同級生の片桐スイが見えない傘をさしているのを見てしまいます。スイが頭のなかで思い浮かべたものを作り出せると知ったショーコは素直に感動し、以来2人は友だちになります。勉強が苦手なショーコはスイに勉強を教えてもらい、スイはさまざまなものを作ることにチャレンジし、毎日ベンチでお弁当を食べて過ごす日々はいつまでも続くように思えましたが……。

 これまでの男女の話から女同士の話になったからかなのかどうか、ショーコはこれまでの男子と比べてもボケボケっぷりが際立っていました。ギャグに近いような内容から一転、シリアスな展開になってしまい、そこからもう一度やり直すためのひとことは、最高に笑えると同時に最高に感動的でした。

 ショーコは自他ともに認めるバカですが、感性は鋭いんですよね。「大丈夫に見えるのか お前には」から、スイを助ける手段を思いついて実行するまでは、ちゃんと青春モノでした。

 これまでの作品と比べると比較的ストーリーがある内容ですが、星が落ちてきたり、鉄塔ロボットが現れたりといった独特のカットは健在です。

 著者twitterによると「青春モノ大好き人間(担当編集)と青春モノ大嫌い人間(自分)が、 一緒に作ったらこうなった!という漫画」ということで、これからも一筋縄ではいかない物語が楽しみです。

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 ブランクスペース 1 


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