『Den andalusiske vännen』Alexander Söderberg,2012年。
出オチです。プロローグ、激しいカーチェイスと銃撃戦。
あとは無駄に長いだけでした。
始まりはグスマン一家とラルフ・ハンケ一家という犯罪組織の対立でした。グスマン一家の息子エクトルがハンケの刺客に轢き逃げされて入院し、そこで出会った看護師のソフィーと親しくなります。
それに気づいた警察はソフィーに接触して、エクトルの正体をばらし、情報を流してほしいと働きかけます。
三つ巴の争いに巻き込まれる一般人という面白そうな内容が、一向に面白くなりません。
何しろ二百ページ近くほぼ何も起こりません。様々な登場人物の視点が入れ替わっているのですが、それぞれのミニマムな描写ばかりが費やされて、一向に物語が動かないのです。
ときどき動きがあっても、断片的な視点の入れ替わりのせいで盛り上がらないまま次に移ってしまいます。
キャラクターに魅力があれば各々の視点も楽しめるのでしょうが、ソフィーに岡惚れするラーシュという変態警官が印象に残るくらいで、あとはちんたら行動したり人となりに費やされたりするばかり。ソフィーとエクトルに魅力がないと始まらないのですが、ソフィーが見事に空気なのですべてが白々しいとしか感じられませんでした。
銃撃された敵をソフィーが看護師魂を発揮して助けたり、エクトルまでがそれに感化されたりするに至っては、失笑しか起きません。
最後は犯罪組織どころか警察もソフィーもみんな悪になって笑えました。
三部作の一作目だそうですが、解説にはほぼあらすじしか書いてなく、著者のことや本書のことをもう少し詳しく書いて欲しかったです。
シングルマザーの看護師ソフィーは、交通事故の患者エクトルと出会った。ひどい怪我にもかかわらず、エクトルの振る舞いは堂々と優美。ソフィーに好意を持っているようで、様々な誘いをかけてくる。ソフィーも家族思いのエクトルに惹かれいくが、出版社の経営者との彼の肩書は表の顔に過ぎなかった。彼に近づいたことで、ソフィーは突如、国際的犯罪組織による血みどろの抗争の渦中に放り込まれる。激しいカーチェイスと銃撃戦をソフィーはサバイヴできるのか? スウェーデンの新鋭が放つクライム・スリラー(裏表紙あらすじ)