『S-Fマガジン』2024年2月号No.741【特集 ミステリとSFの交差点】
「ここはすべての夜明けまえ」間宮改衣
第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。編集後記によれば「どんな物語なのか、ジャンルも、あるいは小説なのかどうかさえも、事前情報が何もない状態で遭遇してほしい作品」ということで、紹介文も解説もあらすじも一切ありませんが、それで読もうという気持ちになれるほど今のSFマガジン編集部を信頼していません。
特集の一篇。刊行予定の長篇プロローグ。
「魂婚心中」芦沢央
――愛は死を超えて――永遠の絆で結ばれたい相手が、あなたにはいますか?(袖惹句)
特集の一篇。たぶん著者の作品ならいずれ短篇集にまとまると思うので今回は読んでません。
「SF読者にすすめるSFミステリ作品ガイド」
「ミステリとSFと、4人の小説家」芦沢央×小川哲×柴田勝家×斜線堂有紀
この座談会目当てで購入。芦沢「意識してSFを書こうとしてみたら(中略)SFのほうが恥ずかしさと戦わなければならない感じがする。(中略)『私の考えた世界観面白いでしょ?』って言ってるような気恥ずかしさがあるんです。」/小川「それは……まあ、気恥ずかしいですよ(笑)。」。小川「小説をエンタメと純文学に分けるのは間違っているんですよ。本格ミステリとそれ以外に分けてほしい。」/斜線堂「わー、わかる!(笑)。」等々、面白くも膝を打つ内容でした。
「書評など」
◆『をんごく』北沢陶は、横溝正史ミステリ&ホラー大賞。巫女に口寄せしてもらったものの、「異質な存在に変貌を遂げた妻の恐怖はホラーとして出色」。「本作の肝は壮一郎の相棒《バディ》となる、ある人外の存在。これ一本で終わるのがもったいないようなキャラクター性を持っている。」。
「大森望の新SF観光局(92)成都から世界を眺めて」
中国・成都で開催された、異色ずくめのワールドコン。今月号は「SFのSはステキのS」もワールドコンについてでした。
「乱視読者の小説千一夜(82)私はカメラ」若島正
ニューヨーク・レビュー・ブックス叢書のD・G・コンプトン。
「恋は呪術師」大滝瓶太
特集の一篇。『異常論文』収録の「ザムザの羽」、2022年6月号掲載の「天使のためのニンジャ式恋愛工学」
「死人島の命題」森晶麿
[amazon で見る]