『飛ぶ教室』エーリヒ・ケストナー/丘沢静也訳(光文社古典新訳文庫)★★★★★

孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの…

『マダム・エドワルダ/目玉の話』バタイユ/中条省平訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆

生田訳バタイユは難解という印象があった。というわけで、新訳はいかに?と思い読んでみました。意外なことに生田訳って読みやすかったんだなあというのが率直な感想。新訳だけに自然で読みやすい一方で、原文の持つ「論理の愚直なまでの道すじ」を回復した…

『初恋』トゥルゲーネフ/沼野恭子訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

冒頭の「初恋なんてありませんでした。はなから第二の恋でした」という台詞こそ印象に残るものの、残念ながら「だれでも感じるであろう初恋の恥じらいやときめき」は感じられなかったなぁ。 ほかの訳ではどうなっているのだろう? 少なくともわたしは、「心…

『リア王』シェイクスピア/安西徹雄訳(光文社古典新訳文庫)★★★★★

『リア王』って四大悲劇の中では地味な感じがしていた。名前が有名なのは『ハムレット』だろうし、名場面・名台詞集といえば『マクベス』かな。『オセロー』はオセロゲームというのがあるせいで子どものころ聞いたときにインパクトがあった。で、『リア王』…

『ちいさな王子』サン=テグジュペリ/野崎歓訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

「おとぎ話調、童話調は採用しない」とはいっても、もとが誰かに語り聞かせるスタイルなのだから限界があって、なんだけっきょく童話調じゃねーかよと思ってしまった。 ただ読みやすくはある。 そして読みやすいがゆえに、嘘くささが浮き彫りになってしまう…

『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3篇』カント/中山元訳(光文社古典新訳文庫)★★★★☆

難解な哲学用語を使わずに、普通の言葉で語るカント。たしかにわかりやすい。そのわかりやすさゆえ哲学というより人生訓みたいでもあった。「啓蒙とは何か」(Beantwortung der Frage: Was ist Aufklärung?,1784)★★★★★ ――啓蒙とは何か。それは人間が、み…


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