『はこ 怪談えほん10』小野不由美作・nakaban絵・東雅夫編(岩崎書店)★★★★☆

 このはこ、なんだっけ? あかない はこ。ふると、コソコソ、おとがする。あめの ふるひ、はこが あいてた。からっぽの はこ。なかみは どこに いったのかな?

 箱のなかにモンスターがいる――のかどうか、すらわかりません。あるいは箱自体が怪異なのかもしれません。起こっているのはただ、何かが消え、何かの箱が開かなくなり、なかから音がする――それの繰り返しです。そしてそれは、スケールがどんどん大きくなってゆくのです。

 はじめは「コソコソ」だった音が「カサカサ」「カサコソ」になり、「ベチャベチャ」になった瞬間、不安や予感のようだったものがはっきりとした恐怖に変わりました。

 アップだった絵は、いつしか俯瞰となり、広い世界に主人公がぽつんと描かれるようになって孤独感がぐんぐん強まります。

 最後には主人公が箱のなかに閉じ込められたように見えるのですが、それが絶望ではなく救いに感じられてしまうくらいでした。

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