まあ玉石混淆ではあります。いきなり冒頭の「パパ」のラストで、言わずもがなのことを説明的に言っちゃってて、あらあらと思ってしまいましたが、オチのある話だと思って読むと説明的だったりベタだったりとあまり期待しない方がいい。といって、では「ユーモア」小説といってもいいのかどうか。
初出を鑑みれば仕方ないのでしょうが、それこそ青年誌とかのコラムやパーティ・ジョークみたいなしょーもない話(いや、貶しているわけではないんだけど)ばかりです。
青年誌というものの性質を考えれば当然なのですが、本当のウィットなんて求められてはいません。「ウィット」という既製服を装ったベタなお約束です。そういう作品もそれはそれで面白いのですが、それを「チェーホフの鋭い人間観察」とか「傑作ショート・ショート」とか表現するのは贔屓の引き倒しでしょう。
『チェーホフ・ユモレスカ1』