重たくてしんどい話なのかと思っていたけど、読んでみたらけっこうリーダビリティが高かった。最後が癒しとか啓発系の話になってしまったのが残念。原題『Anything You Say Can and Will Be Used Against You』。『キャサリン』(Katherine)★★★★★ 「完全」…
イギリスの軍艦が、南洋ミッドウェイ沖で座礁したフライング・スカッド号の生存者たちを救助して、サンフランシスコに入港した。パリで知り合った芸術家肌のラウドン・ドッドと実業家ジム・ピンカートンは、財宝を積んでいると噂されるこの難破船の権利を、…
サン=ルイ島の教会で日曜のミサが始まろうとしていた。だが肝心の司祭がまだ現われない。予定の開始時刻ちょうど、呼びにやった聖歌隊の少年が駆け戻ってきた。「司祭様が死んでいます!」司祭は教会近くの自宅で殺されていたのだ。容疑は教会の若きヴァイ…
親子三代で探偵業を営むルンギー一家は超多忙。今日も美人の依頼人が駆け込んでくる。ポケベルを使って脅迫されているというが、数字しか表示できないポケベルでどうやって? 一家の次男アンジェロ夫婦の名推理が冴える(かも)。お洒落なブティックの店先を…
大傑作になり損ねた作品です。というか、“本格ミステリ的な真相”なんてブランドは鼻から考えてませんね。読んだあとにちょっと消化不良が残ります。あるのはただ“本格ミステリ的な解明と展開”のみ。他のブランド作品同様、いくつもの推理がこれでもか!とい…
銃を持った“巨人”がトレッカースブルグを徘徊している! 連続して起きた二件の狙撃事件の犯人は人間の限界を超えた力の持ち主としか考えられなかった。二件の被害者には関係があるのか、それとも無差別殺人か? クレイマー警部補がぶつかった一番の難事件の…
一読して見当がつくとおり、本書の内容は『歯と爪』であり『黒衣の花嫁』であります。このサスペンスの名作二篇に劣らぬ面白さでありました。章によって視点人物が変わるのが実に効果的。まずは死刑囚。次に謎の男ティール。ティールが泊る宿屋の主人。ティ…
『Crows Can't Count』A. A. Faire。 原題は何かのもじりなのかな? Cで揃えてるだけ? カラスじゃなくて九官鳥の話だとわかった時点で萎えた_| ̄|○。英語では一緒なのかもしらんが。 ------------- 『カラスは数をかぞえない』 オンライン書店bk1で詳細…
『Black for Remembrance』Carlene Thompson。 う〜ん、これはつらかったなあ。こういう家庭内うだうだ系サスペンスは苦手じゃ。べつに……どうでもいいよ……その人は……って思っちゃうものな。夫婦喧嘩ではないけれど、全編「犬も喰わない」できごとばかりだっ…
作品そのものはそこそこ面白い。けれど通し番号269の本書と、続く270『伯母の死』を続けて読むと、“なんだかなぁ”という印象に囚れました。粗筋によると、本書は「文学的」にも評価が高く、また『伯母の死』は「小説」としても優れているそうです。 作者の短…
初めのうちこそ、インテリスノッブ臭いゲスト主人公の犯罪者が鼻につくのだが、ひとたび事件が起こってしまえば止められない面白さ。 悪党どもの化かし合いに、あろうことか警察が利用されてしまうわけだが、倒叙コンゲーム小説と警察捜査小説を同時に楽しめ…
『Maigret et la jeune morte』Georges Simenon,1954年。 物語の骨子は『メグレと殺人者たち』と大して変わらない。メグレの捜査により、死者の肖像がくっきりと浮かび上がってくる作品である。その手の作品としてはやや二番煎じか。ただし本書の場合、そこ…
『Death in Five Box』Carter Dickson,1938年。 瀬戸川猛資氏が『夜明けの睡魔』で趣向に触れ、それが『ミステリ・ハンドブック』にも再録されたので着想だけが有名になった感のある本書です。今ならバカミスと呼ばれる類。バカミスとはいってもカーの場合…
『Necklace and Calabash』Robert Hans van Gulik,1967年。 いろんなところで狄《ディー》判事シリーズが話題になっていたので買って読んでみた。困ったなあ……。全然おもしろくないや……。なんかもっとこう歴史ミステリみたいのを期待してたんだと思う。ある…
バーニイが経営する「バーネガット書店」でのある日。カウンターのバーニイが目をあげるとハンフリー・ボガートに関する本を差しだしている絶世の美女が立っていた。一目惚れしたバーニイとその美女イローナは、ボガートの話題で意気投合し、その夜から十五…