「My Favorite SF(第44回)」佐藤哲也 『銀河ヒッチハイク・ガイド』 「鏡」チャイナ・ミエヴィル/田中一江訳(The Tain,China Miéville,2002)★★★★★ ――イマーゴによって廃墟と化したロンドンで、男は独り北へと歩く……ローカス賞受賞作(袖惹句より) 重…
「二十一世紀の夢 10パーセンター」宮田昇 出版エージェントによる小説風出版エージェントエッセイ。「サイエンス・スクリーン」(I) 当たり前ですが『モスラ』が新作として紹介されていて時代を感じます。ヴェルヌの『悪魔の発明』って映画化タイトルだっ…
「My Favorite SF(第43回)」鷹見一幸「話題の宇宙SFRPG『無限航路』の魅力」「劇場版「スター・トレック」公開記念特集」 「齢の泉」ナンシー・クレス/小野田和子訳(Fountain of Age,Nancy Kress,2007)★★★☆☆ ――なくしたあの指輪にはひと房の髪と…
「My Favorite SF(第42回)」平山瑞穂 スタージョン『人間以上』。 5回目のスプロール・フィクション特集。前回よりはだいぶ面白かった。解説によると「スリップ・ストリーム」という言葉は、現在では「電子書籍などニューメディアを用いる新しいポピュラー…
「My Favorite SF(第41回)」森奈津子 今月号はグイン・サーガ特集でもあるので、グイン・サーガ好きを公言していた作家に原稿を依頼した、ということでしょうか。「邪悪の種子」バリントン・J・ベイリー/中村融訳(The Seed of Evil,Barrington J. Bale…
「My Favorite SF(第40回)」上田早夕里 ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』。「人類の“加速”する進化を描く大作『アッチェレランド』の世界」「日本SFの傑作、世界へ羽ばたく」 現代日本SF専門の米出版社レーベル〈HAIKASORU〉から第一…
「暗黒整数」グレッグ・イーガン/山岸真訳(Dark Integers,Greg Egan,2007)★★★★☆ ――サムから連絡が入った。こちら側の何者かが境界を跳びこえたというのだ。跳びこえた? ぼくは唖然とした。〈不備〉を悪用しようとする工業代数社の仕業だろうか? イー…
「My Favorite SF」西澤保彦 萩尾望都「キャベツ畑の遺産相続人」。「SFマガジン読者賞発表」 へえ。意外です。海外編一位はコニー・ウィリスで、国内編一位は桜坂洋でした。 「F&M月からN月までを(かろうじて)切り抜けながら」新城カズマ★★★★☆ ――歴…
『ニューロマンサー』25周年か。翻訳も80年代なんですね。う〜ん、わたしがSFに手を出してみた90年代もまだ本屋はサイバーパンク一色で、うんざりしてSFを読まず嫌いした記憶があったのだけれど、あれはただ単にそこの書店員の趣味だったのだろうか。ギ…
「My Favorite SF」(第36回)高千穂遙『幼年期の終わり』クラーク。「批評で世の中を変える」宇野常寛×中森明夫 ああ。結局、アンチ「東サークル」というのが大前提なので、保守層の存在自体を知らない一般人が読んでも、気合いが空回りしているようにしか…
今月号は宇宙SF特集。とはいえスペースオペラとかなら互いの共通点もあろうけれど、この四作を「宇宙SF」でくくるのは無理がある。「グローリー」グレッグ・イーガン、「ヴェルザンディの環」イアン・マクドナルド、「ウルフ359なんか怖くない」ケン・マ…
数ページ読んで挫折したんだよなあ。ヒロイック・ファンタジーぽくて。若島氏のコラムに従って、ナボコフだと思って読めばいいのかもしらん。「地図」ジーン・ウルフ/柳下毅一郎訳(The Map,Gene Wolfe,1984)★★★★☆ ――船の船長をしているイータは、ある男…
今月は何と中国SF特集。こんな調子でときどきは世界のSFを特集してほしい。「水棲人」韓松/立原透耶訳(水栖人,Song Han,2001)★★★☆☆ ――水棲人が誕生したのは、ある秋の日だった。大部分は失敗したが、この横浜基地だけが成功したのだ。それはただち…
今月号はスプロール・フィクション特集特集ということで期待していたのだが、最近この手のものばかり紹介されるので食傷気味である。というか、完全に食傷してうんざりさえしてしまう。特に最初の四篇のアメリカ作品はどれも似たり寄ったりで……。 いやー例え…
気合いが入っているなあ。名作短篇の新訳を三篇+オマージュ短篇を二篇も掲載してまで増ページ増価格特集するとは、気合い度が違います。「My Favorite SF」(第31回)瀬名秀明 今月号はこのコーナーもクラーク特集。『未来のプロファイル』についての「嫌い…
編集長も書かれてますが、レム、ヴォネガットにつづいてクラーク追悼特集となりました。ほかの二人と比べると「SFバカ」度が高い(「ハードSF」であるというのとはまた違う。主流文学ではなくSFでしかあり得ないとでもいうか)ので、超がつくほどのS…
「My Favorite SF」(第29回)小林泰三「阿修羅王は、なぜ少女か」宮野由梨香【第3回日本SF評論賞受賞作】 実作者の人生に結びつけるタイプの作品論はあまり好きではない。でも、たとえ光瀬氏自身による裏付けがなく事実とかけ離れた頓珍漢な論だったとして…
「From the Nothing,With Love.」伊藤計劃 ★★★★☆ ――私は、厳密に言えば私ではない。そんな当たり前のことを、私はついこのあいだ思い知らされた。「チルドレンが殺されているわ」上司はそう告げて、ファイルを差し出した。「それで、線はなんです」「彼ら…
英米受賞作特集。受賞作のいくつかはワールドコン特集の号にも掲載されてます。「十億のイブたち」ロバート・リード/中原尚哉訳(A Billion Eve,Robert Reed,2006)★★★★☆ ――舞台は抑圧的な教会が支配する並行世界の地球。教会は〈リッパー〉とよばれる装…
おや。と思ったら、11月号でも日本作家特集をやってました。でもまあ円城塔・伊藤計劃・平山瑞穂ときたら、樺山三英もやらないわけにはいかないでしょう。というか11月号の方が臨時特集で、基本は2月号が日本作家特集……ですよね。「My Favorite SF」(第26回…
今月号はテッド・チャン特集。今月号と短篇集『あなたの人生の物語』一冊あれば全短篇を網羅してしまえるという超寡作さ。というわけで次の短篇集が出るのもいつになるかわからないでしょうから、SFファンなら絶対に今月号を買いのがしてはなりません。 「…
「ニュースレター」コニー・ウィリス/大森望訳(Newsletter,Connie Willis,1997)★★★★☆ ――ナンの一族では、クリスマスになるとおたがいの近況を送りあうニュースレターがさかんに行き交うようになる。しかし、ナンはこれが大嫌いで、今年も少しずつ憂鬱に…
今年の日本作家特集は、円城塔・伊藤計劃・平山瑞穂とエッジのきいた新鋭がずらり。+『今日の早川さん』SFマガジン出張篇、及びベテラン神林長平『雪風』の続き。 「さまよえる特殊戦」(戦闘妖精・雪風 第3部)神林長平「SFマガジンの早川さん」COC…
引き続きワールドコン特集ということで、今月号ではゲスト・オブ・オナーのデイヴィッド・ブリン「スカイ・ホライズン」掲載&「ワールドコンの歩き方」掲載。「スカイ・ホライズン」デイヴィッド・ブリン/中原尚哉訳(Sky Horizon,David Brin,2007)★★★★☆…
『S-Fマガジン』の追悼特集は本当に愛情がこもっているのでいい。ヴォネガットのインタビューのほか、池澤夏樹・太田光・香山リカ・川上未映子・沼野充義・若島正・巽孝之ほかのエッセイ・評論を掲載。作品案内と名言集つき。 「My Favorite SF」(第21回…
前号に続いて【ワールドコン特集】。ノヴェラ&ショート・ストーリー部門の候補作が訳載されています。 「イエローカードマン」パオロ・バチガルピ/金子浩訳/田中光イラスト(Yellow Card Man,Paolo Bacigalupi,2006)★★★★☆ ――かつては成功したビジネス…
いつもの海外受賞作特集かと思ってたけど、そういえば今年は日本で開催されるんですね、ワールドコン。というわけで【ワールドコン特集】は、候補作を二号にわたって訳載予定。これを読んで投票するもよし。「きみのすべてを」マイク・レズニック/内田昌之…
【異色作家特集】の第二弾。今回は非英語圏作家。期待に違わずいい味の作品群でした。「パリに行きたい」ミハイル・ヴェレル/大野典宏・森田有紀訳/七戸優イラスト(Хочу в Париж,Михаил Иосифович Веллер,1991)★★★★☆ ――パリへ行きたいという欲求は様々…
〈異色作家短篇集〉完結記念【異色作家特集】第一弾英米編。「合作」マイクル・ビショップ/内田昌之訳(Collaborating,Michael Bishop,1978)★★★★☆ ――頭がふたつあるのはどんな気分? もっと正確にいうと、ふたりでひとつの体におさまっているのはどんな…
『SFが読みたい!2007』アンケート上位作家特集。さすがにみんな安定している。表紙イラストは佳嶋。デジタルビアズリーみたいな、ポップと頽廃の組み合わせがおしゃれ。椎名誠の新連載も始まった。「蜜柑 『空の園丁(仮)』第二部冒頭より」飛浩隆/森山…