『呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集』ヨン=ヘンリ・ホルムベリ編/ヘレンハルメ美穂他訳(早川書房ポケミス1922)★★☆☆☆

『呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集』ヨン=ヘンリ・ホルムベリ編/ヘレンハルメ美穂他訳(早川書房ポケミス1922) 『A Darker Shade of Sweden』John-Henri Holmberg,2014年。 編者前書きによれば、原書はスウェーデン・ミステリの英訳アンソ…

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫)★★★☆☆

『読書で離婚を考えた。』円城塔・田辺青蛙(幻冬舎文庫) 夫婦作家である二人がお互いに薦めた本を読んでその本についてのエッセイを書く読書リレーです。 てっきり読書感想文や書評による往復書簡なのかと思っていたのですが、のっけから二人とも課題図書…

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★★☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕3』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 3分冊の最終巻。個人的には平均点がいちばん高い巻でした。 「男がみんな兄弟なら、そのひとりに妹を嫁がせるか?」シオドア・スタージョン/大森望訳(If All Me…

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕2』ハーラン・エリスン編/浅倉久志他訳(ハヤカワ文庫SF) 解説で若島正が、本書を比類のないものにしているのはエリスンの序文だと話していますが、エリスンにもSFにも過度な思い入れのない身からすると、そんな楽屋ネタ…

『プリズム少女~四季には絵を描いて~』八重野統摩(メディアワークス文庫)★★☆☆☆

『プリズム少女~四季には絵を描いて~』八重野統摩(メディアワークス文庫) 2013年、文庫書き下ろし。 『還りの会で言ってやる』『ペンギンは空を見上げる』の著者の第二作。 地味な男子が美少女二人と恋人未満の友だち関係という、少年漫画のラブコメみた…

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会)★★★☆☆

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会) 泉鏡花の再評価前、全集も品切れだったころ、種村季弘と澁澤龍彦による鏡花選集の企画が立ち上がったものの、企画は途中で立ち消えとなり、澁澤によ…

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫)★★★☆☆

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫) おばけの出てくるホラーを見下す編集者の依頼によって書かれた、一番怖いのは人間だという小説――という体裁の小説です。 日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智の周りで起こる恐ろしい出来事が描かれます。 第一部…

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫)★★☆☆☆

『ブルーローズは眠らない』市川憂人(創元推理文庫) 『The Blue Rose Never Sleeps』2017年。 デビュー作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続く、マリア&漣シリーズ第二作。 本書はそれぞれ「プロトタイプ」と「ブルーローズ」と題された二つのパートか…

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫)★☆☆☆☆

『見破り同心 天霧三之助』誉田龍一(徳間時代小説文庫) ミステリマガジン2019年11月号の時代ミステリ特集で刑事コロンボに挑んだ作品として紹介されていたので読んでみました。 犯人の犯行場面から始まり、予期せぬ事態に余計なことをしてしまうところは、…

『ミステリマガジン』2022年9月号No.754【マイクル・Z・リューイン生誕80周年記念特集】

『ミステリマガジン』2022年9月号No.754【マイクル・Z・リューイン生誕80周年記念特集】「リューインの思い出」阿津川辰海「サムスン試論」米澤穂信「ラッキーな気分の日」リザ・コディ/矢島真理訳(When I'm Feeling Lucky,Liza Cody,2021)★☆☆☆☆ ――ラ…

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF)★★☆☆☆

『危険なヴィジョン〔完全版〕1』ハーラン・エリスン編/伊藤典夫他訳(ハヤカワ文庫SF) 『Dangerous Visions』Edited by Harlan Ellison,1967年。 (かつての)伝説の書き下ろしアンソロジーが(今さら)完訳刊行された、というのが正直なところなので…

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】「A Map of Nowhere 09:ブラックウッド「柳」のドナウ川」藤原ヨウコウ「英国怪談・十五人の紳士」「時計の怪/酒蔵の妖魔」蘆谷重常(『インゴルズビー伝説』より)★★☆☆☆ ――「時計を御覧なさい。…

『ジーヴスの世界』森村たまき(国書刊行会)★★★☆☆

『ジーヴスの世界』森村たまき(国書刊行会) 国書刊行会ウッドハウス・コレクションの訳者による、バーティー&ジーヴスものを中心としたウッドハウス読本です。 第一章はウッドハウス作品の聖地巡り。ダリア叔母さんのロンドンの居宅がバーティーのフラッ…

『体温 多田尋子小説集』多田尋子(書肆汽水域)★★★☆☆

『体温 多田尋子小説集』多田尋子(書肆汽水域) 約30年前、芥川賞候補に6度なったことのある著者の、候補作「体温」「単身者たち」+「秘密」の全3作を収録した作品集です。著者あとがきに書かれた復刊の経緯によると、どうやら小説書きを引退しているら…

『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(文春文庫)★★★☆☆

『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(文春文庫) 何となくは知っているけれど何となくしか知らない名作を、最低限の知識だけをもとに、読まないままで内容を推し量ってみようという、聞くだけで面白そうな企画です。最後に…

『紙魚の手帖』vol.05 2022 JUNE【名探偵と名犯人の攻防を描く倒叙ミステリの最前線】

『紙魚の手帖』vol.05 2022 JUNE【名探偵と名犯人の攻防を描く倒叙ミステリの最前線】「世界の望む静謐」倉知淳「五線紙上の殺意 犯罪相談員〈1〉」石持浅海 ★★☆☆☆ ――ミュージシャンの有馬駿はとあるNPO法人を訪れた。悩みを解決するために犯罪に走ろう…

『S-Fマガジン』2022年8月号No.752【短篇SFの夏】

『S-Fマガジン』2022年8月号No.752【短篇SFの夏】「魔法の水」小川哲 「『地図と拳』とあわせて読めばより深く味わえる」そうなので、それまで読むのは保留しておきます。 「戦争を書く、世界を書く」逢坂冬馬×小川哲 「自分と同じような価値観や立場の…

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社)★★★☆☆

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社) 長年にわたってゴシック関連の仕事をしてきた著者の、ゴシック文学アンソロジー。 「獣」モーリーン・F・マクヒュー/岸本佐知子訳(The Beast,Maureen F. McHugh,1992)…

『幻想と怪奇 傑作選』紀田順一郎・荒俣宏監修(新紀元社)★★☆☆☆

『幻想と怪奇 傑作選』紀田順一郎・荒俣宏監修(新紀元社) 伝説の雑誌の復刊に伴う前夜祭のようなもので、休刊前の本誌から抜粋した傑作選ですが、特にエッセイに古くさいものが多いのは否めません。 「『幻想と怪奇』、なお余命あり」紀田順一郎 『幻想と…

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA)★★☆☆☆

『錬金術師の密室』紺野天龍(ハヤカワ文庫JA) 異世界ミステリかと思ってたらラノベでした。 ラノベでもいいんですけどね。密度のない薄っぺらいタイプのラノベです。 まだ何も始まってもない段階からいきなり「アワン前哨基地へ、アスタルト王立軍情報局…

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館)★★★★☆

『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館) 乱歩賞受賞作『大いなる幻影』と第二作『猟人日記』の合本より、未読の『猟人日記』を読みました。 キーパンチャーB・G尾花けい子は、バーで知り合った低音が魅力の男と一夜限りの関係を持った…

『消えた犬と野原の魔法』フィリパ・ピアス作/ヘレン・クレイグ絵/さくまゆみこ訳(徳間書店)★★★☆☆

『消えた犬と野原の魔法』フィリパ・ピアス作/ヘレン・クレイグ絵/さくまゆみこ訳(徳間書店) 『A Finder's Magic』Philippa Pearce,2008年。 フィリパ・ピアスの遺作です。挿絵は娘婿の母親が担当し、主人公の名前ティルは孫のナットとウィルから採られ…

『オルレアンの少女《おとめ》』シルレル/佐藤通次訳(岩波文庫)★★★★☆

『オルレアンの少女《おとめ》』シルレル/佐藤通次訳(岩波文庫) 『Die Jungfrau von Orleans』Friedrich Schiller,1801年。 『ヴィルヘルム・テル』のシラーによる、戯曲ジャンヌ・ダルクです。 百年戦争で劣勢のフランス、豪農アルクのチボーは、娘のジ…

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★★

『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ/中村保男訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『The False Inspector Dew』Peter Lovesey,1982年。 かのクリッペン医師を逮捕したことで知られたウォルター・デュー警部。そんなウォルター・デューの偽名を使って乗り込ん…

『ミステリマガジン』2022年7月号No.753【高橋葉介と夢幻ミステリ】

『ミステリマガジン』2022年7月号No.753【高橋葉介と夢幻ミステリ】「邪悪の家」エリック・パーヴェス/小林晋訳(The House of the Black Evil,Eric Purves,1929)★★☆☆☆ ――郵便配達員の奇妙な行動が、私の注意をあの陰鬱な家に引きつけた。配達員は郵袋を…

『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス/安藤哲行訳(河出書房新社)★★★★★

『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス/安藤哲行訳(河出書房新社) 『Las cosas que perdimos en el fuego』Mariana Enriquez,2016年。 アルゼンチンの〈ホラー・プリンセス〉による短篇集。帯にケリー・リンクの惹句掲載。解説に…

『カルカッタの殺人』アビール・ムカジー/田村義進訳(早川書房ポケミス1945)★☆☆☆☆

『カルカッタの殺人』アビール・ムカジー/田村義進訳(早川書房ポケミス1945) 『A Rising Man』Abir Mukherjee,2017年。 インド系イギリス人による、英国統治下のインドを舞台にしたミステリです。 主人公はイギリスから赴任したばかりのウィンダム警部と…

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫)★★★☆☆

『分かれ道ノストラダムス』深緑野分(双葉文庫) 2016年初刊。 二年前に死んでしまった同級生・基の三回忌。基の祖母から渡された日記には、事故死した両親が死なずに済んだかもしれない可能性をシミュレートした記録が残されていました。お互い好きだった…

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫)★★★★☆

『世界を売った男』陳浩基/玉田誠訳(文春文庫) 『遗忘・刑警』陈浩基,2011年。 今や『13・67』『ディオゲネス変奏曲』ですっかり著名となった香港出身の作家による、長篇デビュー作であり、第2回島田荘司推理小説賞受賞作でもあります。 原題は『記憶喪…

『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『現代詩人探偵』紅玉いづき(創元推理文庫) 『Rhyme for Crime』2016年。 英題が韻を踏んでいてお洒落です。 15歳のころ一度だけ参加した『現代詩人卵の会』。10年後に再会したときには9人からなる詩人の会のメンバーのうち4人が自殺していました。当時…


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